『ファーゴ』を観返しててコーエン兄弟のテーマは、ひとはいつまでたっても立派になれない、ということなのかなと思った。あるとき殺してしまう、嘘をついてしまう、大事なときにぼんやりしてしまう、愛について間違ってしまう、コーエン兄弟はずっとそういうりっぱの手前にたたずむ人間たちを描いた

『ファーゴ』には本筋とは関係ない大嘘つきのアジア人が出てくるが、彼は愛に関する嘘を泣きながら話す。でもふっとそのことが主人公の警官に、人生や愛について再び考えることを促す。ひとはちっぽけなことでひとを破壊する。それと愛はどう関係していてどう関係していないのだろう。