最近映画を観ててタランティーノとジャームッシュはちょうど正反対なのかなと思った。タランティーノはヤマバを連続させながら歌舞伎のように映画をつくっていき(『ジャンゴ』)、ジャームッシュはどんなときでもヤマをいっさいつくらず能のようにだらーっと映画をつくる(『デッド・ドント・ダイ』)。


ジャームッシュのゾンビの描き方は特に新鮮だと思ったが、たたかう・感染・大衆などのテーマを離れ、生きていたときのおぼろげな記憶をつぶやきながら徘徊している。「ワイファイ……ブルートゥース……」。すごくジャームッシュらしいゾンビで、警察官で無表情のビル・マーレイとアダム・ドライバーが追いかけてゆく。