「おつぱいを三百並べ卒業式/松本てふこ」(『汗の果実』邑書林、2019年)。私たちは女でも男でも人間でも顔でも性格でもなくときどきパーツに還元されるような「おつぱい」であり、「三百」の数でしかないんだよなあと思うことがある。暗くても、希望に満ちてても、それとは関係なく。

つまり、誰かに「愛してる」とか言ってもそのことばを部位や数から考え直すくらいには、ドライな側面ももっていて、「わたしたちはただのおっぱいなんですよ」といいきる率直さももっていて、でもとつぜんひとは今日新しい日に向けて旅立ち、ひととして出会ったり・別れたりする。