「いちじくを食べた子供の匂ひとか/鴇田智哉」(『凧と円柱』)。句集最初の句。句集全体に広がる意識がふやけていく感じを象徴するような「とか」。「匂ひかな」じゃなく「匂ひとか」になることで、ことばの意味が生まれる回路があいまいになる。意味が起こりつつある意味が描かれつつあるような句