カンパネルラは、そのきれいな砂を一つまみ、掌(てのひら)にひろげ、指できしきしさせながら、夢のようにいっているのでした。
「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。」
「そうだ。」
どこでぼくは、そんなこと習ったろうと思いながら、ジョバンニもぼんやり答えていました。

     宮沢賢治『銀河鉄道の夜』