もしもわたしが
わたしの人生を
なまずのみてくれで
いきていくとするなら
ぬめった皮膚とひげをたくわえ
池のいちばんふかいところで
生活するだろうね
ある晩
きみがこの池に
ちょっと立ち寄る
月のひかりにみちあふれ
わたしの暗く寒々しい家に
そのあかるさが
こぼれおちてくるくらいの
そんな夜だ
わたしの愛の淵にたったきみは
こんなことをかんがえる
「へえ、この池って、
すてきな眺めじゃんか。
なんか、すっごく、愛されたくなるわ」
なるほどわかった愛するよ
わたしはもうきみのなまずトモダチなんだ
きみの孤独な物思いなんか
ふきとばせてみよう
そうしたら
だしぬけにきみはこころのそこから
安心しきってしまうんだ
そうしてこんなひとりごとをいう
「この池って、
なまずとかいたりしてね。
なまずにとっては
泣きたいくらい棲みやすいところよね」

   ブローティガン「鯰の友」

  *

Your Catfish Friend

If I were to live my life
in catfish forms
in scaffolds of skin and whiskers
at the bottom of a pond
and you were to come by
one evening
when the moon was shining
down into my dark home
and stand there at the edge
of my affection
and think, "It's beautiful
here by this pond.I wish
somebody loved me,"
I'd love you and be your catfish
friend and drive such lonely
thoughts from your mind
and suddenly you would be
at peace,
and ask yourself, "I wonder
if there are any catfish
in this pond?It seems like
a perfect place for them."

Richard Brautigan