人間失格 (新潮文庫 (た-2-5))
道化を演じるってことは、コトバで他者を懐柔することだと信じていた男が、手記というテクスト=コトバの牢獄に閉じ込めら相対化されてしまうという徹頭徹尾メタフィクション。ひいては、メタ・サブジェクトの物語といってもいい。ニンゲンになるとは、フーコー的な主体=従属になることなのだ、コトバ(ディスクール)でね。
読了日:07月09日 著者:太宰 治
漫画の時間 (新潮OH!文庫)
冒頭のいしかわじゅんによる「コマ論」は漫画家ならではの視点でおもしろい。このひとのウリってマンガ業界にくみしていながら、漫画家に対して悪口たたいてる点である。岡田はマンガ業界にくみしてないし、夏目はそんなけんかふっかけるようなことしないし笑
読了日:07月09日 著者:いしかわ じゅん
比較社会・入門―グローバル時代の「教養」 (有斐閣選書)
読了日:07月09日 著者:
エレンディラ (ちくま文庫)
エレンディラは映画化されてるんだけど、まあマルケスで映画化されるようなテクストはおもしろいともいえず。語りながらも錯綜する時間軸、その時間軸にまきまれるかたちで錯綜していく語りがマルケスのおもしろいとこなんだからさ。なんかさ、マジックリアリズムって内容より語りなんじゃないかって思うんだが。だから、プルーストやフォークナーに近いんじゃないかと
読了日:07月09日 著者:ガブリエル ガルシア・マルケス,G. ガルシア・マルケス
予告された殺人の記録 (新潮文庫)
エレンディラもそうだけどさ、マルケスで映画化できるもんなんておもしろくねえんだよね。百年の孤独も族長の秋もできないじゃん。ねえ
読了日:07月09日 著者:G. ガルシア=マルケス
モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
エンデとボルヘスはよく似ている。本人たちもそれをわかっている。ヒント:時間=無限
読了日:07月09日 著者:ミヒャエル・エンデ
テンペスト―シェイクスピア全集〈8〉 (ちくま文庫)
ポスコロ分析でおなじみのテクスト。読み終わったらもちろんグリーナウェイのデジタル幻想、プロスペローの本を観やう
読了日:07月09日 著者:ウィリアム シェイクスピア,William Shakespeare,松岡 和子
戦後政治史 (岩波新書)
読了日:07月09日 著者:石川 真澄
風の歌を聴け (講談社文庫)
春樹が精神分析的であるのは、言語伝達の不可能性という主題を用意しているからだ。その点でオースターとも連絡することができる。彼はことばを信じていないが、それを主題にして文学を書いているということは信じてもいるということだ。けれども、その点において、近代文学の臨海点にいながら、近代文学史自体を相対化していけるような現代的な視座ももちあわせている。その視座をひとことでいえば、ディスコミュニケーションの身体論。つまりは、カフカ。カフカと手をつなぎながら、漱石とも手をつないでいるのが春樹の魅力
読了日:07月09日 著者:村上 春樹
異邦人 (新潮文庫)
異邦人ってとてもシンプルな話で、社会のコードにのらず、自分コードでいきぬいたひとりの物語なのだ。だから、ムルソーはママンが死んでもねむりたかったらねむるし、泣きたいときには泣くのだ。ラストに彼が怒ったのは、社会コードにがんじがらめにされて自分の人生を生きることもできていない人間から、「素直に生きろ」といわれたからだ。そりゃあ、ムルソー、怒るぜ
読了日:07月09日 著者:カミュ
異邦人 (新潮文庫)
異邦人の書き方講座。まずは主語を「彼」で小説を書いてみませう。文末は、「た」止めだといいですね。できたら、「彼」をすべて「私」に変換しませう。はい、よそもの、のできあがり。
読了日:07月09日 著者:カミュ
都市空間のなかの文学 (ちくま学芸文庫)
舞姫都市論も秀逸。それにしてもほんたうにカルスタを見通していたっていうか。
読了日:07月09日 著者:前田 愛
明治メディア考
明治メディア論への視座を大方網羅できる。メディア論を語るなら、ここからはじめたい。
読了日:07月09日 著者:加藤 秀俊,前田 愛
ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)
読了日:07月09日 著者:夢野 久作
星の王子さま (集英社文庫) (集英社文庫)
サン=テグジュペリの手紙を読んでても思うんだが、目にみえないことを大事にするってのはナショナリズムと結託する場合も文学には多々あるんだよ。バオバブはファシズム批判でありながらもそのまた逆もしかりというわけ
読了日:07月09日 著者:アントワーヌ・ド サン=テグジュペリ,Antoine de Saint Exup´ery,池沢 夏樹
漱石人生論集 (講談社文芸文庫)
ともかくだいじなメールを書くときは俺は漱石が芥川に書いた手紙を読んでからメールを書くことにしている。恋文だってそうだ。水村美苗だってそうやって勇気づけられていたんだ。文士を押すんじゃない。にんげんを押すんだよ。これから湯に入ります。
読了日:07月09日 著者:夏目 漱石
小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)
芥川がさあ、「小説が書けない」っていったら、志賀が「書けなかったら、書かなくていいじゃん」っていったんだけど、志賀のおぼっちゃんなところがよくあらわれてると思う。ヒント:芥川は小説を書かないと飯が食えない
読了日:07月09日 著者:志賀 直哉
清兵衛と瓢箪・網走まで (新潮文庫)
ファザコンかつマザコンかつグランマザコンであっためずらしい人。祖母が大好きなひとは、マイベスト作家としておさえておくべき。「網走まで」は明治のジェンダー視覚論をやるなら必須。
読了日:07月09日 著者:志賀 直哉
カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)
オリヴェイラの『神曲』も観てみやう。精神病院にバイクを飛ばしてやってくるのはなんとイワン・カラマーゾフ!!
読了日:07月09日 著者:ドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)
洋書だと一冊で読めちゃうんだがなあ。カラマーゾフ。最近、新しくて読みやすい英訳も出たんでそっちもぜひ読んでくれ
読了日:07月09日 著者:ドストエフスキー
門 (角川文庫)
一切のフラグが回収されず、無視されていくという物語が起こらないことが物語になるというあまりにカフカでカーヴァーな現代小説。カフカ『門』、カーヴァー『門』と題して再読してみやう。漱石テクストはそんな愉しみにも応えてくれるから
読了日:07月09日 著者:夏目 漱石
マンフレッド (岩波文庫)
文学は近代自我の葛藤というつまらないもんを描いてきたけどその一端。カルヴィーノのパロマー氏やヴァレリーのテスト氏を読んで相対化したってください
読了日:07月09日 著者:バイロン
続巷説百物語 (角川文庫)
京極シリーズと逆の手口ですよね。巷の条理⇒あやかしの不条理。
読了日:07月08日 著者:京極 夏彦
現代の哲学 (講談社学術文庫)
これ、すげえわかりやすかった。近代哲学・現代思想の基礎をさらりとおさえてしまおう。タイトル、よくないけど。ちょっと古いんでね。この本すべて網羅しても、「現代」思想の2割も触れられないからね
読了日:07月08日 著者:木田 元
羅生門・鼻 (新潮文庫)
芥川ほど、ジェンダー論が書きやすいテクストはないと思うんだが。「藪の中」とか。あ、あと構造分析もきっちりできる。「トロッコ」とか「みかん」とかね。理知的ってそういうとこをいうのだと思う。百閒のエッセイ読んでると、ちょっとひくほどにだいぶラリってるけどね笑
読了日:07月08日 著者:芥川 龍之介
蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)
芥川って、トポロジカルに再話するのが巧みなんだよね。蜘蛛の糸だって、上下の空間論だし、「羅生門」だってひとつの空間論だからね。
読了日:07月08日 著者:芥川 龍之介
三四郎 (角川文庫)
鉄道が文学装置としてちょうど本格化してきたときに、そこで「視る女性/視られる男性」をさらりと描く漱石の他者論がすばらしいと思うね
読了日:07月08日 著者:夏目 漱石
白夜 (角川文庫クラシックス)
ヴィスコンティがマストロヤンニ主演でこれ映画にしてんだけど、マストロヤンニって意外に異邦人のムルソーとかもやってるし、文学臭も出せるかとおもいきや、文学原作だと、こけるんだよねえ笑マストロヤンニをうまいことまわせたのってフェリーニだけだよな。タルコフスキーもドストを撮ろうとしてたんだけどね。オリヴェイラなんかはその点うまいことやってると思うな。
読了日:07月08日 著者:ドストエフスキー
笑わない数学者―MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)
ここらへんで、うん、わかったとサイカワシリーズをやめてしまった。いつまでも西園寺もえにつきあってられんしなあ。たしかさあ、西園寺もえってすごい評判わるかったんだよね。わかる気はするが。
読了日:07月08日 著者:森 博嗣
こゝろ (角川文庫)
死者(K)は抑圧される。死者は語らないし、語れない。死者を語るのは生者である。さうした非対称な語りのありやうに注目すると先生の権力的な語りのあらやうが浮き彫りにされてくる。では、そこからひるがえって「わたくし」の語りのありやうはどうなるのだらう。だって、先生も死者なんだからな。
読了日:07月08日 著者:夏目 漱石
翻訳夜話 (文春新書)
春樹の翻訳ブレインが柴田であるのは有名。春樹はおそらくベンヤミンの純粋言語を信じていて、柴田はドライにネクタイしめずに訳しているといったところ。実際に、このひとネクタイしめてないんである。
読了日:07月08日 著者:村上 春樹,柴田 元幸
28歳からのぶっつけ留学成功法 (生活人新書 225)
読了日:07月08日 著者:平川 理恵
男どき女どき (新潮文庫)
結末のどんでん返しがやや粗雑なきらいがあるが、粗雑であるからこその向田節なんである。俺は足のつめをかんじゃうラフな彼女にほれていたんだもの
読了日:07月08日 著者:向田 邦子
堕落論 (新潮文庫)
太宰が戦争を通過しても一切スタイルがかわらなかったときに、堕落することを唱えた安吾のリアクションはいい意味でいえば「時代を超えたひと」。わるい意味でいえば「時代にのまれたひと」。
読了日:07月08日 著者:坂口 安吾
方法序説 (岩波文庫)
デカルトのがちむちなコギトをいかに批判するかが大事。わたしはわたしのいない場所でかんがえる。ゆえに、われあり(ラカン)。ジジェク、もろてをあげて大喜び(笑)
読了日:07月08日 著者:デカルト
ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)
ソクラテスはいっさいのことばを書き残していません。弟子のプラトンは書き残しました。ここより、パロールとエクリチュールの離婚調停の歴史がはじまるのです。プラトンがどう弁明しようとも
読了日:07月08日 著者:プラトン