認めたくないものだな、
自分自身の若さゆえの過ちというものを。
上のセリフは、富野節の最骨頂だが、
ひとことでいうと、「失敗しちゃった！！」
ってことなんである。
アニメ夜話における
シャアの「読解」は興味深いものがあった。
で、岡田斗司夫が、
いかに、ガルマのことをずうっと思っていたか
という読みを展開させていたが、
ララァの件に関しても、
地球の件に関しても、
アムロの件に関しても、
父の遺志の件に関してもそうなんだが、
相当に無意識下にコンプレックスが
巣食っていて、
それからけっきょく
逃れられなかったひとなのだということが
よくわかる。
地球圏から離れられぬ
重力に縛られたひとびとと
地球連邦を批判していたが、
ガンダム史のなかで
いちばん自分自身に囚われていたのは
このひとに他ならない。
たとえば、
「マスク」と「サングラス」に関しても、
それは無意識の掩蔽を象徴しているのだが、
逆にいえば、掩蔽するほどに
強烈でいびつな無意識が
とぐろを巻いていたことの現れでもある。
「赤」という警戒色を着こむことで
いちばん目立とうとする存在でありながら、
核心を「マスク」でおおい、隠ぺいしていくという
ガンダム史において
これほど、矛盾を包含した人間もいなかった。
その「矛盾」のせいでどれだけの
人間が死んだかと思うと、
シャアの無能さを思うが、
それでも人間は、基本的に
一所懸命に生きれば生きるほど
矛盾を抱えていく存在なのである。
マ＝クベは、腹にいつもつ抱えていながら、
案外に、表出しているので一枚岩であるが
なかなか、ああもいかない。
アムロは、未熟でまだ「掩蔽」することさえしらない。
わたしはブログで何度もくりかえしているけれど、
そうしてそれは「文学」から学んだことなんだけれども、
ひとは、内面と外面がずれていることが不幸なのではなくて、
内面と外面を一致できるような場所あるいはひとを
みつけられないことが不幸なのだ。
内面と外面がずれていくことは
シャアのように社会でうまくやっていくには
あたりませのことなんである。
でも、シャアのように
その一致できる場所が「亡霊」となっている場合は、
地球を壊滅させるような
いびつで陳腐な行為に走ることしか
できない。
でも、人間ってやっぱりそういうところがあって
ダンガム史で、けっきょくは
いちばん「人間学」＝「精神分析学」をしていたのは
シャア・アズナブルそのひとなんだろうと
いまにしておもう。
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