五つ星:★★★★★
いびつな恋愛をしているひとにおすすめです。
百閒と春樹と川上って似てるんですよ。
「ない」ことの領域をつくりだすことで、
物語空間を重層化していくんですね。
この三人はそれが抜群にうまい。
否定的言辞を使うことが物語の駆動力に
なっているんです。
で、春樹と川上はどちらも
セクシュアリティに対して
ひじょうにストレートなんですけども
春樹が女性を性具のようにこきつかう一方で
川上はひじょうにフェミニンな視点から
セクシュアリティをえがいていると
おもいます。
ふたりのセクシュアリティ観に共通していえるのは、
「セックスは、けっしてコミュニケーションにはなりえない」
という点です。