彼女いない歴=年齢・26歳の彼女できるまで日記


五つ星:★★★★★


知によって家族や信念から切り離され、
知の回廊をさまよいながら頽廃していく一郎が
最後に知の裏返しのように「ぐうぐう」寝てみせるのは
たしかにhappyでありながらsadとしかいいようがありません。

頭で「考えて、考えて、考え」るだけの一郎が
最終的に眠りこける「身体」に還っていく姿は
仕掛けとして非常におもしろいし、
ぷかぷか浮かぶ「こころ」の先生や

「門」の宗助の胎児姿にも通じるものがあるように思います。
とりあえず、
悲劇的なのに喜劇的に収束していく語り口に、
「此処では喜劇ばかり流行る」
ともいいたくなります。

眠りは安息であるにも関わらず、
超絶的に孤独です。
やっぱりかなしいですよね。