スナック「恋さん」店内。男2人プラス野獣。
この野獣、俺がここから早く退去したいという思いを嗅ぎつけたのか、やけに扱いが雑だ。
その一方で、食えると見込んだ友には、猫なで声で接する。
わが友よ。相手が相手だ。お前もしらけるよなあ・・・
「へえ~ジュゴンちゃんて、かわいい源氏名だね」
「やあヴぁあ!照れちゃうヴゥ」
そう来たのか友よ・・・。酔っているとはいえ、野獣を飼い慣らそうとするのか・・・。
いかんぞ!飼い慣らすどころか、餌食になるのは時間の問題だ、友よ。俺がなんとかこの場を・・・
「なあ、もうそろそろ帰ろうぜ」
ありったけの勇気を振り絞り、俺は言った。野獣がにらみを利かせるが、ここでひるんでは、友の命が危ない。
「アンタだけ帰れば」
はっ、お客に向かって吐いた暴言。ジュゴンよ・・・そこまでして・・・。そんなことを言ったら我が友が黙っていないぞ!
「ダイチ~やきもちやくなよ~。さっき小声でジュゴンちゃんてカワイイって言ってたじゃん」
「ヴええええ、そっそうなのおおおお。やヴぁああああああ」
「いや・・・」
嫌だ。こんなの嫌だ。
「帰れなんていってごめんなさい・・・。平等に接しているつもりなんだけど」
唇をとがらせて言うなジュゴン・・・。吐き気とめまいがする。
「ダイチはおっぱいの大きい人が好きだからなあ」
たしかに・・・だがお前もわかるだろ・・・常識が!
「もおおおおお こ・の・す・け・べ。乳首ビームをお見舞いしちゃうぞ」
なぜ・・・
なぜ、こいつらは必要以上にとどめを刺そうとする。片方の胸の大きさが、俺の顔よりだかいのに・・・び・・・ビームって。
「ダイチ!遠慮せず、挟んでもらえよ」
「やあだあああああああああ」
顔を赤らめるジュゴン。その首・・・絞殺したい。でも・・・首がない。
しかし、あれだ・・・さっきから黙って聞いていれば、味方のはずの友が、なぜか店より?
酔っているとはいえ、少しぐらい俺の気持ちもさっしてほしい・・・。
が
さらに拷問はつづく
「カラオケ歌えよ!」
「いいよ」
俺がこういったところで歌わないの知ってて言うか友よ。
「そんなこと言ったら場がしらけちゃうぞお」
野獣よ森に帰れ!誰がお前らの言うことなんか聞くか!
「しょうがないなあ・・・ダイチが歌わないなら俺が歌っちゃうぞ!」
「さすがああ!!乗りのいい人ってカッコイイ!」
シズカもそうだったし、ジュゴンもいちいちリアクションがオーバーで、聞いててへどが出る。商売だから客にヨイショは当然とわかっていても・・・それにのっかるほうものっかるほうだ・・・
「尾崎の「15の夜」をお願い」
俺の気持ちをよそに、歌のリクエストをする友。
あれか・・・やっぱり歌うんだ。しかし古い歌をチョイスしたもんだ。とにかく、この歌を歌い終えたら帰るぞ、友よ。俺の限界もそこまでしかもたん。
さあ、思う存分この一曲を歌え!友よ・・・
「♪盗んだバイクで走りだす~行く先もわからぬまま~♪」
マイク片手に意気揚々の友。その友をあおりたてるように
「きゃあああああ素敵いいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
と、「X」のファンを彷彿とさせる応援の声。
誰が聞いても、下手な歌だと思う。重低音で、声は鼻声・・・音程もずれている。ジュゴンよ・・・せめて黙って聞いてられないのか?
そして・・・
歌い終えた。俺もこれでようやく・・・
以下 私の解説とともに 金魚と野獣の会話をお楽しみください。(あまりに恥ずかしい内容なので、会話形式で)
金魚 「俺、尾崎好きなんだ」
野獣 「わたしも大好きなの~」
金魚 「ええ趣味合うじゃん」
野獣 「ねえ・・・昔悪さしてなかった?」
金魚 「ん?まあねえ・・・」
解説 もうここらへんでやめたいのですが・・・もう少し頑張ります。
野獣 「やだあ!じゃあバイクとかって乗ってたの?」
金魚 「まあ、盗んだやつだけどね」
解説 友人はミッションが運転できません。なぜなら、私があげた50単車を何度練習してもエンストばかりしていました。それにしても歌詞になぞって、平気で嘘をつきやがった・・・。
野獣 「喧嘩とかもけっこうしたんだ・・・」
金魚 「まあね・・・。俺に喧嘩売る奴はあまりいなかったけど・・・」
解説 私と喧嘩をしたこともありますが、話になりません。渇揚げされた話は、またの機会に。
野獣 「じゃあモテモテだったでしょ?」
金魚 「いやあ、そんなことないよ」
野獣 「もおお謙遜してえええ」
金魚 「特定の彼女はいなかったけどね」
解説 彼の学生の時のあだ名「マスターベーコン」略して「ベーコン」。オ○二―ばかりしている寂しいチェリーボウイが由来。
もうそろそろやめよう・・・これ以上は・・・
なぜこいつが友達か疑問をもつ前に
FIN