「目が覚めたか?佐藤ツバサ。」
そこにいる「誰か」は機械のような声で話しかけてきた。
ボイスチェンジャーか何か使っているのか?
目隠しされていて見えないが、
恐らくあの男だろう
「お前のおかげで全て上手くいったよ。お礼にいい事を教えてやろう。」
そいつは話を続けた。
「お前が1億の件でマンションにいった時、
男がいただろう?
アイツは、
・・・
お前の父親だ。」
⁉︎
なんだって!
あの男が父親⁉︎
ちょっと待ってくれ!!
だって!!
あの男はもう殺されてるじゃないか!
ソイツは話を続ける
「刑事やりながらずっとお前の事を見守っていたよ。もう二度と会う事はないがな。」
俺はどこかで、
いつか父親に会えるんじゃないかと思っていた。
刑事やってたのは母から聞いていた。だがそれ以外は何も教えてくれなかった。
だから若い頃はワザと警察沙汰になるような事をした。
名前は分からないが警察に連れていかれれば、いつか父親に会えるんじゃないかと思って。
今さら父親と名乗られても困るが、一度会って話がしてみたかった。
それが俺の1つの夢だったんだ。
それなのに・・・
それなのに!!
・・・
お前が殺したのか!
俺は怒り狂い叫んだ!
「俺が殺した?どうなのかなぁ〜」
俺は喉が潰れるほど叫ぶ
おじさんを殺したのもお前なんだろう⁉︎
そいつは不気味に笑いながら、
何かのスイッチをいれた
『カチャ。』
「・・ニュースの時間・す・・」
聞き取りづらい。電波が悪いのか?
ラジオ?
新宿の路上・・ギンジョウケンタロウさんを殺害したとして、警察は
佐藤ツバサ容疑者を全国で指名手配しました。
警察は佐藤容疑者の行方を追っています。」
⁉︎
父親とおじさんを殺した犯人⁉︎
どうなってやがる!!
ソイツは続ける
「今から警察に電話する。
・・・
もしもし、今○○ビルの地下に佐藤ツバサ容疑者いますよ。じゃあそう言う事で失礼。
・・・
ツバサ君、
今から警察がここに来る。
君も終わりだよ。」
そう言うとドアが開く音がした。
「じゃあな。」
ドアが閉まる。
・・
俺は心の中で叫んだ
ヤツは何者なんだ!
俺は殺してない!
本当の犯人は誰なんだ!!
それに・・・
気になったのは・・・
ヤツが部屋のドアを開けた瞬間
ドアから少し風が入ってきた。
それと同時に、
どこかで・・
嗅いだことのある。
どこだったか?
嗅いだことのある。
匂いがしたのだ。
・・・
思い出せない。