数年前に偶然手に入った「白善燁(ペクソンヨップ)回想録」を読み直しました。すると今まで分からなかったことが、いろいろと分かってきました。

白善燁参謀総長は朝鮮戦争当時、韓国陸軍第1師団師団長として最前線で戦った人で、満州国軍官学校の出身者です。当時の韓国陸軍の中枢はほとんどが日本軍出身者でした。

マッカーサーの仁川上陸作戦によって韓国の危機が救われたと言われており、私もそう思っていました。たしかに韓国が救われたのはアメリカの強大な軍事力によるところが大きいですが、それだけではありません。それは韓国の国民が必死に戦ったから、アメリカが助けたということが考えられます。
もし洛東江の戦闘で敗れていたらプサンは陥落し、アメリカは引き揚げ仁川上陸作戦は中止されたのではないかと考えます。
洛東江の戦闘の中で、真の意味での韓国陸軍が作られていったとも書いてあります。

韓国軍が必死に戦う姿をみて、アメリカ軍も韓国人を理解し、一緒に戦うように戦い始めたのです。
私も含めて、朝鮮戦争における最大の転換点は、マッカーサーの仁川上陸作戦と考えられていましたが、それだけではなく韓国人が必死に戦ったからです。

この本に将軍のメッセージが書かれていますが、そこにこのようなことが書かれています。

過去において不幸な関係もあったが、韓国と日本とは一衣帯水の運命共同体である。釜山の丘に立てば対馬が見える。日本の繁栄を支える航路帯も、韓国のそれと同一である。韓国と日本の安全保障は、密接不可分の関係にあるといえる。その点から、この書が日本で出版されることに一つの意味があるだろう。

監修を終えてにはこのような文章があります

日本は地政学上の要域に位置しながら国民の防衛意識は低く、その防衛力は国力に比して信じられぬほど小さい。したがってアメリカに助けられる立場にあるが、朝鮮戦争は日本の防衛を考える上で最も身近で最も似通った環境での戦争であるが故に、白大将の回想は日本に対する忠告と受け取ってよいであろう。国連軍が37度線に押し下げられた時は、米国は極秘で日本への撤退を決心したし、休戦会談の準備は韓国側には極秘で進められた。
助ける側にも限界があり、己を犠牲にして他人を助ける国はないからである。

日本と朝鮮半島は中国とロシアという大国の側にあり歴史上常に脅威を受けてきました。それは現在もそうであり、今はそれがますます強くなっています。そのような状態で日本と朝鮮半島が生き抜くためにはより密接な関係を結ばなくてはなりません、まさに運命共同体なのです。

日本と韓国がいがみ合っていたら、いざという時にどうしてアメリカが真剣に助けてくれるでしょうか?
日本と韓国、そしてアメリカが一つになることが日本の生きる道であると思います。
今、日本と韓国の間を裂こうとしている動きが活発になっているようです。