皆さん、こんにちは
本日は最新技術が施された究極のリッタースーパースポーツ...
HONDA CBR1000RR-R(SP) 2024
こちらのチューニング開発&4シリンダー独立燃調についてご紹介いたします
また、開発モニター募集についてご案内がございますので、興味がある方は是非最後までお付き合いください
開発モニター募集は定員に達したため受付終了といたしました。たくさんのお申込み誠にありがとうございました。
デモ車両購入
◆スペイン・スーパーバイク選手権:昨夜行われたレースで2位表彰台を獲得
弊社は全日本ロードレース選手権(JRR)、スペイン・スーパーバイク選手権(ESBK) などの選手権・カテゴリーでホンダ系チーム・ライダーのレーシングサービスを行っている関係により、CBR1000RR-R に関しては特に力を入れています。
ESBK スペイン・スーパーバイク選手権 JEG Racing 浦本 修充 選手
全日本ロードレース選手権 JSB1000 TOHO Racing 清成 龍一 選手
そのため、弊社はトップライダーとレースで培った実績や経験を一般車両にフィードバックする研究用として 歴代CBR1000RR-R を デモ車両 として購入してきました
デモ車両① CBR1000RR-R 2021年式(2BL-SC82)
デモ車両② CBR1000RR-R(SP) 2022年式(8BL-SC82)
デモ車両③ CBR1000RR-R(SP) 2024年式(8BL-SC82)
今回新たに CBR1000RR-R(SP) 2024年式が仲間に加わりました
外観だと中々見分けがつきにくいですが、一番の特徴はこのウイング形状です
2022~2023年式
2024年式
この角度から見ると違いが分かりやすいですね
しかし、変わったのは見た目だけではありません
車体やエンジンなど中身は大きく変更されています
2024年式の変更点
まず、一番の大きな変更点ですが、新型CBR1000RR-R は2モーター式スロットル・バイ・ワイヤーが採用されています。
2024年式(#1#2と#3#4のスロットルが独立して動く)
2020-2023年式(#1#2#3#4のスロットルがすべて連動して動く)
2モーター式スロットル・バイ・ワイヤー は コーナリング中の開けやすさ や スムーズなエンジンブレーキ特性 に貢献します。
特に高回転高出力なエンジン は ビッグボア・ショートストロークになる傾向があり、低開度(スロットルが僅かに開いているところ)や低回転(エンジン回転数が低いところ)のトルク(≒燃焼)をコントロールすることが苦手です。
2020-2023年式を含め、通常の並列4気筒のバイクはこのように#1#2#3#4のスロットルバルブがすべて連動して開くため、開け口から、いきなり 4気筒1000ccエンジン なりの出力特性が出てしまうため、出力をコントロールする(トルクを落とす)ことが難しく、ドンツキなどの問題につながります。
そこで、2024年式では スロットル・バルブ4つを半分に分割(#1#2、#3#4)し、片側を大きく開け、もう片側を小さく開ける状態(スロットル分配)を作ることで、スロットル・バルブ4つが連動して開いた状態と比較して燃焼が安定し、トルクをコントロールしやすくなる効果を狙っています。
※動きを分かりやすくするため特殊な加工を加えております
スロットル分配制御では、このように右手グリップを全閉から開けていく際、開け始めは左側(#1#2)が先行して開き、右側(#3#4)は僅かに開いた状態になります。そこから更に開いていけば徐々に右側(#3#4)が左側(#1#2)に追いつくような動きになっています。
ざっくり言えば、開け口だけ 2気筒500ccエンジン、そこから先は徐々に4気筒1000cc になっていくようなエンジン特性を自在に作ることができるのです。これは乗り手にとってはメリットが大きいアップデートですね
ちなみに V型4気筒 はそもそも2気筒ずつスロットルが分かれているため最初からこのような仕組みが使えます。また、同じ並列4気筒でもBMWは同様の仕組みを既に採用しているため、WSBKで海外勢に立ち向かう対策として導入したと考えております。
レースの世界でベストなセッティングを出すのは難しいですが、セッティングが煮詰まれば良い結果が期待できるかも
2モーター式スロットル方式は1つのECUでは処理しきれないため、2つ目のECUがシート下に搭載されました。
タンク・シート下あたりにサブECUが搭載されています
エアクリーナーボックス上にメインECUが積載されています(2020-2023年モデルと同様)
これだけでもかなりコストがかかったであろう、超ビッグチェンジになりますので、WSBKでのご活躍を願うとともに、我々もこのような機能を武器に、レースで良い結果を残していきたいと思います。
エンジンにも見直しが入り、カムシャフトのバルブタイミングやリフト量、ポート形状、ピストン形状変更による圧縮比向上(13.4→13.6)など多くが変更され、ファンネル形状も変更となりました。
楕円形状だったり、斜めカットだったり、長さ違いだったり、様々な種類が見て取れます。
マイナーチェンジごとにエンジン仕様が変更になりましたからね
逆に2024年式は真円形状になり、シンプルになったな~という印象でした
続いてエキゾーストパイプも若干の変更が加えられ、触媒下流に触媒劣化検知用のO2センサーが取り付けられました。
また、サイレンサーも静穏性を重視されたものに変更となりました。
2024年モデル 排気デバイス
-2023年モデル 排気デバイス
サイレンサー変更に伴い排気デバイスの取り付け位置も変更となりました。
CBR1000RR-R 2024年式の主な変更された部品
カウルウイング形状、前後サスペンション、フロントブレーキキャリパー、燃料タンク、メインフレーム、スイングアーム、ステムシャフト、電装部品(ハーネス、センサー)、燃料噴射装置(スロットルボディ、ECU)、ファンネル、エキゾーストマフラー、エンジン(ポート形状、カムシャフト(バルブタイミング)、バルブ、圧縮比、ピストン、クランクシャフトなど)、トランスミッション...etc
熟成が進んだ CBR1000RR-R に死角無しです
歴代RR-Rの中で最も低速トルクが出ており、トルクモリモリで乗りやすく制御も優秀なので、本当におススメの車両です
チューニング開発
チューニング開発のコンセプトは
2024年モデル(最新技術)を最大限楽しむ
です
①最新1000ccエンジンのトルクを最大限引き出す
②2モーター式スロットルのメリットを最大限利用する
③異なるエンジン出力特性(900cc相当、800cc相当、600cc相当)を再現する
この辺りをやっていきたいと考えました
①最新1000ccエンジンのトルクを最大限引き出す
最新のバイクは燃料噴射量が大きく絞られており、本来のエンジン性能を最大限に生かしきれていません。
そこで、デモ車両を用いて各シリンダーの空燃比の最適化ならびにバラつき解消を目的としたマップ製作を行います。
今回も4シリンダー独立燃調のためにノーマルマフラーを取り外し、センサーボス穴取付を行いました。
各シリンダーの空燃比を測定するため、このように各エキゾーストパイプにワイドバンドO2センサーを取り付けます。
専用の空燃比ゲージとつなげれば、左から1番シリンダー~4番シリンダーの空燃比が確認できるようになります
もちろん、空燃比ゲージを目視確認するセッティングでは無く、最新のCANデータロガーを用いてデータ解析を行います。
2モーター式のスロットル・バイ・ワイヤーになったことを受け、パワーモード出力制御 が 目標スロットル制御方式から 目標トルク制御方式 に変わりました。
※右手のグリップに対して目標とするスロットル開度にスロットルバルブが追従する方式から目標とするトルクにスロットルバルブが追従する方式に変更
そのため、アクセル(右手グリップ)を一定に維持してもエンジン回転上昇と共に決められた目標トルクを追従しようと左右のスロットルが別々に動いてしまうため、従来のセッティング手法が通用しなくなります。
#1#2スロットルバルブのみ開いている状態
この問題を解決すべく、様々な工夫を凝らして空燃比測定が行えるようにしました。
なお、2024年式 は 2023年式以前のマフラーと互換性が無い(※)ため、今回は 純正エキゾーストマフラー のみ 4シリンダー独立燃調を実施しました
※純正サイレンサー形状の変更に伴い、2023年以前のスリップオンマフラーは互換性がありません
※フルエキゾーストマフラーについて360度集合(従来のAKRAPOVICフルエキなど)を利用してしまうと、2モータースロットルにおいてスロットル分配(左側#1#2右側#3#4で異なるスロットル開度)の際、気筒間干渉により低開度時の出力が想定より低下し正常なトルク分配の効果が得られなくなります
◆横軸 - 電子スロットル開度 [%]
◆縦軸 - エンジン回転数 [RPM]
◆赤色に近いほど 空燃比が薄い、緑色に近いほど 空燃比が濃い を表します
※パフォーマンスを優先した空燃比と比較した場合の評価
純正エキゾーストマフラー(排気デバイス全開)で測定した空燃比分布データを確認すると、右下の高負荷領域(高回転高開度)以外は全域で空燃比が薄いという結果となりました。
エンジン関連の部品にあれだけ多くのアップデートが入ったにも関わらず、これだけ薄く絞っては本当にもったいないですね...
各シリンダーについて最適な空燃比に収束させることで、エンジン本来のパフォーマンスが発揮できるようになります
更に、パワーモード1においては低中速域において目標トルク値が控えめでしたので、ダイレクト感ある出力特性に変更しました
これらの調整の結果、4シリンダー独立燃調による空燃比最適化の効果もあり、落ち込んでいた低中速のトルクが改善され、スムーズなトルク特性になりました
低回転から高回転まで一直線なパワーグラフになりましたね
これだけ全域でトルクが出てれば(低速がスカスカ...)などの不足を感じないと思います
②2モーター式スロットルのメリットを最大限利用する
しかし、トルクを出せば出すほどダイレクト感は増しますが、逆にアクセルを開ける動きに対してシビアになっていきます。
そのため、コントロール性が要求されるグリップ角度やエンジン回転数に対しては、スロットル分配を利用することで、アクセルを開けやすい方向に持っていくことが可能となります。
一方でスロットルが分配されている時間が長すぎると、今度はライダーがダイレクト感を感じにくくなってしまいます。
※何事もやり過ぎは良くないということです
そこで、必要な時に必要な分だけスロットル分配が行われるよう、パワーモード1における分配値を変更しました
このようにすることで、目標トルク見直しや4シリンダー独立燃調によるトルク増分に対して、ダイレクト感を残したままアクセルの開けやすさを維持できることが見込まれます。
③異なるエンジン出力特性(900cc相当、800cc相当、600cc相当)を再現する
目標トルクを追いかける制御に変わったことで、パワーモードに対する味付けを決めやすくなりました
例えば、パワーモード5にすれば、トルクの上限値が63Nm(=600cc相当)になります...という調整も可能になるのです
試しに目標トルクの上限値を101Nm(900cc相当)、88Nm(800cc相当)、63Nm(600cc相当)と変更したところ、このように綺麗なコンスタント・トルクを得ることが出来ました
※トルクカーブが見事に右に真っすぐ伸びているのが分かります
これだけトルクが一定であれば、パワーが落ちている感覚を覚えることなく、その排気量のバイクに近いMAXトルクを楽しめることが見込まれますね
そこで、弊社チューニングではパワーモードを下記のように再定義することにしました
パワーモード1:フルパワー(113Nm - レスポンス大)スロットル分配大
パワーモード2:フルパワー(113Nm - レスポンス小)スロットル分配小
パワーモード3:上限トルク900cc相当(101Nm)スロットル分配小
パワーモード4:上限トルク800cc相当(88Nm)スロットル分配小
パワーモード5:上限トルク600cc相当(63Nm)スロットル分配小
つまり、フルパワートルクモードを2種類、上限トルクを600cc~900cc相当に落とした仕様を3種類ということになります
<パワーモード1・2>フルパワートルク(113Nm - 201.6[HP])
<パワーモード3>上限トルク900cc相当(101Nm - 188.5[HP])
<パワーモード4>上限トルク800cc相当(88Nm - 166.9[HP])
<パワーモード5>上限トルク600cc相当(63Nm - 123.2[HP])
1,000ccのバイクですが、いつでもボタン一つでフルパワー~600cc相当に変幻自在の仕様になりました
これぞ、2024年モデル(最新技術)を最大限楽しむ ですね
実際に試運転したところ、パワーモード1は真の力を手に入れた恐ろしいパワーを感じつつ、それでも扱いやすさは健在でした
また、パワーモード2~5は順当にパワーが落ちていきますが、どれもシーンに応じて十分使えるし楽しめる仕様に仕上がっておりました
サービスメニュー(予定)
<基本メニュー 66,000円>
① 点火マップ 調整(最適化)
② パワーモード 調整(目標トルク調整)
P1: フルパワー(113Nm - レスポンス大)スロットル分配大
P2: フルパワー(113Nm - レスポンス小)スロットル分配小
P3: 上限トルク900cc相当※(101Nm)スロットル分配小
P4: 上限トルク800cc相当※(88Nm)スロットル分配小
P5: 上限トルク600cc相当※(63Nm)スロットル分配小
※上限トルクのみ排気量相当となり、中間トルクは1,000cc並みとなります
③ スピードリミッター 解除
<オプションメニュー① +11,000円>
④ 燃料マップ調整
(MotoJPオリジナルマップ適用)
※ブログ公開時点では純正マフラー用データのみ
⑤ アフターファイア 調整
<スプロケット丁数等 調整 +11,000円>
⑥ スプロケット丁数 調整
※前後スプロケット丁数の変更がある場合は追加調整が必要です
⑦ リアタイヤサイズ 調整
※リアサイズの変更がある場合は追加調整が必要です
※調整にはバンク角ごとのタイヤ周長データが必要です
開発モニター募集 ※受付終了
現時点で実施可能なチューニング項目を評価していただける開発モニターを募集いたします。お得な特典もございますので、募集要項をご確認の上、興味がある方はぜひご検討ください
【募集要項】
〇HONDA CBR1000RR-R(STD/SP)2024 国内仕様であること
◆国内仕様以外のモデル、レースベース車両は対象外となります
〇弊社に車両持込が可能であること(何度かお越しいただくことがございます)
〇サーキット走行(スポーツ走行、走行会など)に利用されていること
◆ファイナル変更、スピードリミッターに対する問題解決を評価いただきたいため
〇走行後のインプレッション(写真提供を含む)をいただけること
〇純正状態から改造が少ないこと
◆本サービスを正しく評価いただきたいため、特にサブコン(インジェクションコントローラー、パルスモジュレーターなど)が取り付けられている場合は取り外していただく必要がございます
【特典】
〇基本料金を20%程度割引いたします ※基本料金は66,000円(税込)を予定
〇オプションメニュー①②をサービスさせていただきます
◆オプションメニュー①は純正エキゾーストマフラーに限ります
〇リチューニングを1回無料で実施させていただきます(対象期間:3か月以内)
◆通常リチューニングは11,000円(税込)(※オプション費用を除く)で実施いたします
【募集期間】
〇2024年6月2日(日) ~ 2024年6月23日(日)まで
◆定員5名様に達し次第、受付を終了とさせていただきます
定員に達したため、受付終了しました
サブコン(インジェクションコントローラー、パルスモジュレーターなど)との併用は本サービスの評価に支障が出るだけでは無く、不具合等が発生する恐れがございますので、サブコン、インジェクションコントローラーを取り付けられている場合は事前に取り外して頂く必要がございます。
興味がある方は是非お気軽にご連絡ください