皆さんこんにちは
今回は スズキのフラッグシップスポーツモデル&13年ぶりとなるフルモデルチェンジを受けた...
SUZUKI HAYABUSA(3型)
こちらの開発完了しましたので、開発コンセプトや内容などご紹介させていただきます
また、ページ後半にお得な開発モニター事前受付の情報も掲載いたしますので、いち早くお試しになられたいお客様は最後までチェックしてみてください
デモ車両購入(2023年6月)
久しぶりのフルモデルチェンジということで2型と大きく変わることは予想していたため、最新スズキ車両を理解したいということから、デモ車両として購入を検討しておりました。
そこで...
スズキといえば!!!
今回、親交のある Team KAGAYAMA代表の 加賀山 就臣 監督に相談させていただき、スズキ車販売実績は日本屈指を誇る モトフィールドドッカーズ様 をご紹介いただきました
そして、MFD(モトフィールド ドッカーズ)横浜店様 にHAYABUSA 白青(新車)を1台販売していただきました
いやぁー、めちゃくちゃカッコイイ
注文からご納車まで大変スムーズかつスピーディに対応いただき本当に感謝しかありません。加賀山監督、MFD岡本様、この度はありがとうございました
さて、ここから慣らし運転&開発を進めていきます
開発コンセプト
過去に GSX-1300R(HAYABUSA)2型は多くのご依頼をいただいていたことから、何度も何度も試乗に出たこともあり、乗り味的なところは身体に染み付いていました。
今回は慣らし運転から、3型にしっかり向き合いたいと思い、通勤で利用するなど、時間をかけてじっくり慣らし運転を行いました。そこから3型ならではの味付けが見えてきます。
2型に比べてとてもマイルド
が第1印象でした。とにかく乗りやすいです。
初代登場時は最高速312km/hでギネス記録など、ZX-12Rやブラックバードとバチバチに世界最速バイクを競っていた過去があったとは思えないくらい、本当にマイルドな仕上がり。しかし、スロットルを捻れば怒涛の加速は健在。
一時はターボ化されるのでは。
という噂も飛び交ってましたが、色々な憶測が飛び交う中、隼ファンの熱い期待を受けつつも13年間かけてフルモデルチェンジさせたスズキの答えを身にしみて感じました
スズキの技術の結集。この乗りやすさを無駄にしちゃいけない。我々なりに更に乗りやすくすることは出来ないか。
開発の方向性も自ずと決まってきました
改善ポイント
今回もスタッフ全員が試乗し、時には2型と比較しながら、改善ポイントを洗い出していきました。
もう少し常用域のトルクが欲しい...
1,300ccを超える車両にトルクを求めるのは度が過ぎるように思えますが...
右手のグリップ角度やエンジン回転数が一定以上になると怒涛のトルクを感じることができますが、常用域のトルクはかなり薄く感じます。2型に比べると本来のトルクが出るところに到達するまでがだるい感じがしました。
→ 常用域のトルクがさらに力強くなってくれると、その奥の力が出る領域とスムーズに繋がりますし、なにより高速巡行もさらに楽になりそうですね。
スロットルを閉じてから開けなおしたときの反応が鈍い...
例えば高速道路を巡行中、減速した後にゆっくり再加速しようとすると、グリップを動かしているのに無感(エンジンがついてこない)を感じました。最初は気のせいかな?と思ったのですが、長距離を走って何度も体感したので確信に変わりました。
→ 少し不自然を感じながらの運転は疲れますし、何より良く使う部分でもあるので、開けなおし時の反応は改善したいなと思いました。
エンジンブレーキが弱い...
3型にはエンジンブレーキモードと呼ばれる、エンジンブレーキの強弱を変えることが可能なモードが「OFF(エンブレ最強)・1・2・3(エンブレ最弱)」の4段階が用意されています。
2型はエンジンブレーキが強めだったのですが、3型はモード2・3(最弱)あたりにするとかなり弱く感じることに気づきました。EB1(2番目に強い)でも少し高いギアだと少し走る感じがする?
良く言えば転がってくれるので個人的には好みだし、高速巡行などは良いのですが、それでも交差点侵入など他のシーンでは少し扱いづらさを感じました。
→ モード1・2・3をもう少し強めにできれば、シーンに応じて使いやすくなるのかなと感じました。また、モード2は開け方向に対して開けやすさを感じたため、モード2のキャラクターにバリエーションが欲しいなとも思いました。
基本的にはとても乗りやすいので、本当に細かいところばかりを取り上げることになってしまうのですが、この辺りが全て改善したらツーリングでもかなり武器になるんじゃないかと思い、スタッフ総出でマップ製作に取り掛かりました
4シリンダー独立燃調
常用域のトルクが薄い はこのバイクに限ったお話ではありません。最近のバイクの宿命と言いましょうか。本当はもっと力強いのに...。
常用トルクは 燃調 の影響が大きく占めるため、燃調と言えば、今回もお馴染みの4シリンダー独立燃調を実施致しました
まずは下準備です。
車両から純正マフラーシステムを取り外しボス穴加工に出します。
※180度集合で1-4、2-3にそれぞれバイパスパイプがあるため、ボス穴はバイパスより上流に設置する必要があります
オイルクーラーとラジエーター、ホースなどがギチギチのところなので、バイパスパイプよりも上流かつこれらに干渉しないとなると、溶接個所の選定がかなり難しいのですが、何とかエキパイ4本すべてにワイドバンドO2センサーを取り付けることが出来ました
4シリンダーの空燃比(左から1番2番3番4番)をモニタリング・ロギングしながらシャーシダイナモ上でセッティングを進めていきます。
純正マフラー
スリップオンマフラー(JMCA)
※YOSHIMURA R-11Sq
今回は純正マフラーとスリップオンマフラー(JMCA)の4シリンダー独立燃調を実施しました
※フルエキゾーストマフラーは将来的の需要を鑑みて製作を検討します
◆横軸 - 電子スロットル開度 [%]
◆縦軸 - エンジン回転数 [RPM]
◆赤色に近いほど 空燃比が薄い、緑色に近いほど 空燃比が濃い を表します
※パフォーマンスを優先した空燃比と比較した場合の評価
見ての通り、どのシリンダーも常用域のスロットル開度でかなり薄く絞られております。トルクが薄い?と感じた領域と重なるので納得ですね
※薄く絞られている領域がエンジン回転数ごとに異なり、高回転に行けば行くほど階段状に薄い領域が増えていきます
また、エンジン負荷が大きいところも若干薄めの傾向が見られるので、4シリンダーすべての空燃比を最適化することで、さらにスムーズなエンジン特性が見込まれます
なお、電子スロットル・レスポンスもエンジン回転数の上昇と共にレスポンスが向上する特性が見受けられたため、エンジン回転数が上がるまではスロットルに対するリニア感を感じられないといった特性になっておりました。
そこで、最上位パワーモードとなるパワーモード1(Aモードなど)では スロットルレスポンスを向上させることで、上記4シリンダー独立燃調との相乗効果で、開けたら開けた分の加速が得られるようなさらに扱いやすいエンジン特性へと改善させることを狙っております。
エンジンブレーキモードについて
走ってて一番謎だったのがエンジンブレーキモードです。
マニュアルには "スロットルグリップを全閉にしたときに発生するエンジンブレーキの強さを、システムが燃料噴射とスロットルバルブの開度を調整することにより制御する機能です。"とありますが、実際は各モード(OFF・1・2・3)でかなり印象が変わりました。
個人的にはエンジンブレーキモード2が一番扱いやすい感じを受けましたが、排気音が随分変わりますね。ブフォーみたいな2気筒っぽい音が聞こえてきます
実走行での確認・検証は無理がありますので、今回はシャーシダイナモとデータロガーを用いて、各エンジンブレーキモードで減速中の燃料噴射とスロットル開度がどうなっているのかをしているのか調べてみました。
ただ、普通にシャーシダイナモを稼働させても、エンジンブレーキの検証は出来ません。なぜなら、シャーシダイナモ上ではフロント車速が動かないため、実走行と同じ制御が行われないからです。(※フェールセーフが働きます)
そこで、今回は実走シミュレーションが可能となるよう、(かなりの裏技ですが...)フロントスピードセンサーをリアホイール側に移設し、実際のフロントタイヤが回っていなくても、リアタイヤの回転を拾い、フロントタイヤも回っているとECUに誤認させる試みをしてみました
ただし、このままではスピードを検知するパルサー歯数やタイヤ周長が前後輪で違うにも関わらず、フロントとリアが同じ回転数になる(=前後車速差が生まれる)ため車速エラーとなってしまいます...。
そこで、ECU内部でパルサー歯数(フロント48歯、リア50歯)のところ(フロント50歯、リア50歯)に合わせ、フロントタイヤの周長もリアタイヤの周長に合わせることで、リアホイール輪速だけを前後のスピードセンサーが読んでも帳尻が合うようにしました
※もっと言えば加速時に6軸ジャイロでもピッチアングルを出さないといけないのですが、さすがにそこまでは難しいため割愛。シャーシダイナモで実走行をシミュレーションするのは中々難しいんです
試しにTC(トラクションコントロール)を入れて、シャーシダイナモ上で200km/hくらいまで回してみましたが、一切反応がなかった(≒前後タイヤが同じ車速で走行できているとECUが認識できている)ため、センサー移設は上手くいっていると考えます
ここまでして、ようやく シャーシダイナモ上でエンジンブレーキ制御が再現できるようになりました
少し分かりにくいですが、赤ラインがRPM(エンジン回転数)、青ラインがTPS(スロットル開度)を示し、右方向に時間が流れていきます。どちらも上に行けば数字が大きくなります。
こちらはアクセル全開を維持してエンジン回転数を10,000rpm付近まで上昇させ、一気に全閉にしたときの様子ですが、エンジン回転数の下降と共にスロットル開度が閉じていく様子が見えます。
今回、モードOFF、1、2、3ですべて試しましたが、結論、アクセル全閉時(エンジンブレーキ中)のスロットル開度(動き方)に関しては大きな差が見受けられませんでした。
ただ、グラフを見て頂けると分かる通り、モードOFFからモード3に進むにつれて、RPMの数値の落ち方がゆっくりになっているのに気づきます。しかし、スロットルバルブ開度に違いは見受けられません。
※モードOFFはアクセル全閉で急角度でRPMが下がっていますが、モード3はかなり緩やかな曲線で下がっています
個人的にはモード3がエンジンブレーキが一番弱く効く(=減速時のスロットル開度が大きい)、モード1(もしくはOFF)がエンジンブレーキが一番強く効く(=減速時のスロットル開度が小さい)と予想していただけに、少し意外な感じがしました。
では、モード間の違いは燃料噴射の割合の方が大きい...?
エンジンブレーキモード間でスロットル開度に大きな変化が無いのに、実走行ではあれだけ大きな変化を感じたということは、減速時の燃料噴射量に大きな違いがあるとしか思えません。
ですが、基本的にインジェクション車両は減速時は燃料カットしているはずなので、どうやって燃料噴射でエンジンブレーキを調整するの...?と思いましたが。。。
調べてみて...なるほど
答えは燃料噴射を休止(燃料カット)する気筒数にありました。
今回、4シリンダー独立燃調ということで、たまたま各気筒の燃料噴射を確認することができたため、各モードの減速時における空燃比を見ながら確認していきたいと思います。
空燃比計の見方ですが、「- - - - 」は燃料カット(LEAN)を表します。
ですので、「- - - - 」が表示されたシリンダーは燃料カット状態(気筒休止)を意味します。
一方、空燃比計の数字が動いたら、燃料が噴射されていることを表します。
エンジンブレーキモードOFF
エンジンブレーキモード1
エンジンブレーキモード2
エンジンブレーキモード3
動画で見ると各モードで全然違いますよね?
エンジン回転数や車速の落ち方も全然違うのがお分かりいただけたと思います。
これ、スロットル開度は同じですから、単純に燃料カットの気筒数だけでここまで減速力に違いが出ているのです。
まとめると、下記のようになっておりました
減速中に燃料カットされているシリンダー
エンジンブレーキOFF: #1#2#3#4(4シリンダーカット)
エンジンブレーキ1: #2#3#4(3シリンダーカット)
エンジンブレーキ2: #2#3(2シリンダーカット)
エンジンブレーキ3: #3(1シリンダーカット)
つまり、
エンジンブレーキ3にすると、4気筒のうち3気筒が燃料を噴いている(≒減速中に仕事をしている気筒数が多いのでエンジンブレーキが弱くなる)。
エンジンブレーキ1にすると、4気筒のうち1気筒しか燃料を噴いていない(≒減速中に仕事をしている気筒数が少ないのでエンジンブレーキが強くなる)。
ということになります。減速中のマイナストルク(≒減速力)は燃料を噴いている気筒数で変わるのです。
燃料をカット・噴射する気筒番号は爆発タイミングや合力トルクを見て、一番負担が掛からないところを選んでいるようですね。
これはエンジンブレーキモードによって燃費も大きく変わりそうですね
ただし、これは減速だけではなく、開け方向にも影響を及ぼします。
なぜなら、休止→噴射にはタイムラグがあるため、休んでいる気筒数が多いほど、減速から加速(マイナストルクからプラストルク)の移相が激しくなり、ドンツキが発生しやすくなるからです。
なので、全モードで3(1シリンダーカット)が一番トルク変動が小さいので、開け方向のツキはマイルドになるはずです。
それにしても、量産車両なのに随分と面白い制御がなされているなと感じましたまるでレーサーのようです
だから、エンジンブレーキ2にすると、ブフォーと2気筒みたいな音になるし、開けたときのツキも優しくなったんですね、納得
しかし、モード2や3は開けやすいのにエンジンブレーキが弱くなりすぎるので乗りづらい。これでは本末転倒ですよね。
ここをなんとかしたい...ということで、各モードにおける減速時のスロットル開度や燃料カット気筒数をMotoJPなりの調整を施し、一番使いやすいところを狙えるよう、試行錯誤を繰り返しましたよ
チューニング後はエンジンブレーキが適切に働き、かつ、開け方向も非常に開けやすくなっており、乗ってて全然疲れない、もっと良いバイクに仕上がりました
開発モニター募集
只今、HAYABUSA 開発モニター絶賛募集中です
ご希望の方は下記「事前受付フォーム」からお申し込みください。
[対象車両] HAYABUSA (8BL-EJ11A)
[内容] チューニング内容を評価・フィードバックしていただきます。追加開発が生じた場合、開発にご協力いただきます。
[特典] 基本料金11,000円OFF、評価期間中は独立燃調データ無償適用(※セッティング実績があるデータに限る)、評価期間中はスプロケット丁数 無償適用
[定員] 5名(残り0名 ※2024年5月17日現在)
[受付期間] 2024年5月5日~2024年5月19日(もしくは定員に達するまで)
[評価期間] 準備出来次第お伝えいたします
[施工方法] 車両持込(自走)のみ(ECU単品持込や郵送は対象外)
<通常価格>
①ECUチューニング基本料金 65,780円
②オプションメニュー① 11,000円(独立燃調データ適用)
③スプロケット丁数 変更 11,000円
合計価格①のみ:65,780円
合計価格①②のみ:76,780円
合計価格①②③:87,780円
<モニター価格>
①ECUチューニング基本料金 54,780円
②オプションメニュー① 0円(独立燃調データ適用)
③スプロケット丁数 変更 0円
合計価格①②③:54,780円
※①②③すべて実施の場合は通常価格と比べて33,000円お得♪
HAYABUSA 開発モニター事前受付フォームはこちら
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Tel: 045-392-3308 Fax: 045-392-3306
営業時間:10:00 - 18:00 (休憩12:00-13:00)
定休日: 火・水曜日
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