「組織行動セーフティマネージメント」に大いに共感 | ラテン系企画マンの知恵袋

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日経ビジネスの記事で「組織行動セーフティマネージメント」なるものが紹介されていた。

「人間の意識を変えることは難しいという前提に立ち、行動を変えることで組織の安全性を高める」というアプローチである。

なぜなら、人間は、「ポジティブ」で「即時」で「確実」なものを選好する生き物であるからだ。

例えば、『なかなか禁煙できない人は、「たばこを吸うとすっきりし、気分転換になる」という、確実にすぐ起きるポジティブな結果に影響を受けている。「たばこを吸い続けるとガンになるかも知れない」と言われても、その事象をすぐに確実に起きるとは認識しないから、影響を受けにくいのだ。「ガンになるかも知れない」というネガティブな結果は、起きたとしても遠い先のことであり、しかも、必ず起きるとは限らない』

これを製造現場に置き換えると『生産ラインのオペレーターは、安全のために、決められた作業手順に従って行動せねばならないが、放っておくと手抜きをしてしまう。工場で働く作業員が安全基準を無視して手を抜いていたとする。この行動には、手を抜くことで「早く仕事を終わらせることができる」という結果が大きく影響している。作業員にとっては確実にすぐ得られる得られるポジティブな結果だ。手を抜く危険行為によって「自分や他人が怪我をする」かもしれないが、これは必ず確実に起きるわけではない。だから作業員の行動に影響を与えにくいのだ。』

であるから、組織行動セーフティマネージメントでは、

『やってはいけないことを注意したり、叱ったり、罰を科したりといったこれまでの安全活動とは違う。あくまで安全行動を取っている人を褒めて認めることによって、安全文化を作り上げていく活動だ。安全行動を習慣化する取り組みであり、疲れていたり、暑くてもうろうしていたりする状況にあっても、無意識に安全行動が取れるように訓練する「安全行動を取ろう」「危険な行動はやめよう」といった単なるスローガンを並べても事故を防止できない。最悪の事態を想定して安全対策を立て、安全行動を取るように訓練していくことが必要だ』

この考え方、大いに共感です。

生産現場においては(というか生産現場に限らず)、何か事故が起きると、再発防止作という名目でマニュアルが強化されるので、結果的に作業量が増え、プロセスが複雑になる為、それを無視したくなるという悪循環に陥る。こういう事例に遭遇する度に、これは「抜本的な解決には繋がらないだろうなぁ」と思いつつ、あくまで「説明責任」という目的のみからこのような対策が取られていると感じてしまう。

この「組織行動セーフティマネージメント」のアプローチは、実に人間の本質を捉えており、「無意識に安全行動が取れる」という状態が実現できれば、世界中の生産現場での生産性が飛躍的に上がると感じました。

大いなる期待を持って、今後の動向を見守りたいと思います。