続・ベストセラーを作り出す裏話 | 備忘録以上、評論未満。

 

 

続き。

 

前回のブログでは

 

「お金」の話をメインに書いたが

 

ではそのお金を

 

どう使うのが有効なのか?

 

 

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 豊富な資金をどう使うのが有効だろうか? 様々な意見があると思うが、代表的なものを列挙する。

 

 

①広告(新聞、ウェブ、電車など交通機関)

 

②買い取り(大手書店での計画的かつ大型の買い取り、一定期間を過ぎた在庫の買い取り)

 

③タイアップ(インフルエンサー、ユーチューバー、ネットメディアなど。いわゆる案件)

 

④PR会社の起用(書籍の売り込みに強い会社)

 

 

 作家がお金を出すと主張するのなら無理に止めないが、新聞や交通機関への広告出稿は出版社も業務として行なっている(すべての出版社ではない)。

 

 出版社はPR会社とも取り引きがある。どの作家にもつくわけじゃないが、これぞという作家につけられる。その場合、PR会社と作家が印税を分けるケースが多い。

 

 買い取りについては書店も出版社も常にウェルカムな状態だ。まったく損がないから。大手と呼ばれる全国チェーンの書店からその地方に特化した地域チェーンの書店までが買い取りを歓迎する。数十冊から数千冊までの単位で買い取られる。

 

 発売前にそういう契約を交わしていたら買い取り分のすべて(例えば買い取り数が500冊だったら500冊すべて)が店頭に並ぶことはない。売り上げはあくまでもデータ上の往来でしかないからだ。在庫を段ボール箱で運ぶのもコストがかかる。

 ただし。大量の買い取りをすると書店のベストセラーランキング上位に掲載される。そこから生まれる事後の需要を見越して、書店は店頭での在庫分を確保する。

 

 なお、買い取り契約を交わさなくても足繁く主要な書店を回って店頭在庫をせっせと買い続ける手法もある。しかし徒労とまでは言わないがお勧めはしない。かかる時間と使うお金を考えるとコスパが良いとは思えない。

 

 SNSのフォロワーに「一人何冊買って欲しい」と生々しい依頼をしている作家もいるが、内容に興味があって買ってもらうという出版本来の趣旨が完全に欠落している。そういう本は早々に中古書店やフリマアプリで安く売られるのがオチだ。

 

 書店のリアルタイム売り上げデータを有料で出版社に提供している「パブライン(紀伊國屋書店が運営)」の数字は、出版社が重版を検討する一つの要素と言われ、その事実は作家も把握している。だからといって紀伊國屋書店の各店でせっせと買い取り作業をしたところで、そのデータを出版社が見れば「ああ買い取りしたな」とすぐにわかる。そんな数字の動きで重版をかけようとする出版社はない(はず)。

 

 この中で実現が難しいのは、インフルエンサーやユーチューバーなどと呼ばれる、いまどきの「歩くメディア」とのタイアップだろう。

 

 実は面識がある、あるいは友人関係にあるとか、そういう交流があれば楽だ。かつて人気タレントの本を手掛けた時はそういう方々の手も借りた。私にそういう交流があるのではなく芸能人の周囲にいる方々が宣伝してくれた。無名の応援団が強力な宣伝塔になったようなものだ。

 

 そういう人たちはお金ではなく純粋にその人物やその商品が好きで気に入っているから取り上げてくれる。中にはお金で動く人もいるが、大勢のフォロワーや視聴者に見抜かれてしまうことも多い。いわゆるステマ(ステルス・マーケティング)の類いとしてその人物の好感度が下がるリスクもある。

 

 インフルエンサーやユーチューバーという人々は従来の芸能人枠ではない。しかし有名人になればなるほどテレビに出ている芸能人以上の「才能」がある。

 

 それは「心を動かす」才能だ。

 

 インスタグラムやツイッターや自前のチャンネル(ユーチューブでの番組)を駆使し、何十万、何百万という大衆を動かす。もはや強力なメディアだ。そして有力なインフルエンサーやユーチューバーは、それを自覚している。だから気に入らないプロジェクト(案件)なら動かない。1億とか2億積まれたらさすがに動くだろうが、自らのブランディングを損なうと判断したらテコでも動かない。

 

 要するに何らかの方法(魅力的な何か)で彼らを動かすことができれば、つまり味方につけることができれば、販促・宣伝で大きな力を得ることになる。

 

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最近は交通広告(鉄道など)が

 

響かなくなってきたらしく

 

【広告する=人の目に留める】

 

という

 

マーケティングの主軸が

 

ネットに移行している事実を考えると

 

やっぱりSNSで

 

どこまで広がるかがカギかな。