ひとには苦手なものが必ずあるのだ。
あたしは、男を縛るのが苦手。
麻縄って食い込むと痛いんだよね。（あぁ、それがいいんだっけ）
肉を挟まないようにとか、力加減（これは人により異なる）やら。
男のおっぱいをビキニみたいになるように縛るんだけど、亀甲的な。
成長しなかったね。
トルソーを買おうかと思ったが、万が一、縛られたトルソーを誰かに見られるとまずい。
でも、ぬいぐるみにしても、どうして縛ると目玉が色っぽい目線になるのだろ。
存在がエロく
なるのだ。
男を縛るのは諦めさせてもらった。
だいたいやね、日体大や国士舘の柔道部や相撲部みたいな男を縛り上げるちからなんぞねぇし。
じゃ、縄で手錠をかけるのなら出来ると刑事さんが教えてくれたんだ。
まず、見本であたしの両手首を縛りながら、これがキッチリ固定されるんだよな。
元々、手錠が足りないときとかに縄で縛ったり、あと、、見えないようにお腹を縛ったり。
連行するときね。
で、あたしも刑事さんの太い手首を縛る。
ふたりで、静かな部屋のなかで。
外は雨音が聴こえるだけ。
窓に、隣りの店のネオンがピンク、ブルー、紫と連発する。
ふたりの顔をふわふわ照らしている。
まるで、田舎の家であやとりをしているような牧歌的なほのぼのさ。
あのネオンはストリップ劇場でも風俗でもなく、、たぶん、豚骨ラーメンだ。
ふたりで縄の具合を確かめ合い、これでよし
、などと意味のない確認をしあう。
黒のスリップ姿でいたので、寒くないんか？と聴かれた。
あたしのからだを眺めながら、『あんた、ヤクザモンの女じゃねぇな
』
『カタギの家の女だ』
『肌が綺麗やから』
若い衆にも同じことを言われたことがある。
『ねーさん。カタギの女は肌が綺麗だな
』
カタギじゃないと肌荒れでもしているのか。
虐待の跡でもあるのか。
リスカの手首の跡か。
煙草と食生活と、ジャンキーな食事、、それにシャブで荒れてくるのか。
それよりも、手錠が出来るようになって良かったとホっとした。
いざというとき、逃げられるから。
ちび緊縛プレイで今日の心療内科終了。
