母「私な、記憶はええんや。」
こういうことを母はみんなの前で堂々と言う。
僕もケアマネさんもヘルパーさんも凍りつく。
だって…認知症だから…ここにこうやってみんな集まっているのに…。
母「カラオケなんか番号見んと選べるんやで!」
僕はこれを100万回聞かされた。
でも、それはあなたが店をやっていたときの機械で、しかもあなたの十八番の「ふたり酒(?)」だけの話でしょう。
母「電話番号も全部暗記してるわ!」
これをタクシーを呼ぶたびにいつも言われる。
タクシー会社の電話番号を知ってるだけなのに!
この前、自分の家の電話番号を完全に忘れてたじゃん!
一回一回「全部」とか「なんでも」とかつけるから、僕はイラっとするんだよ!
母「こんなに記憶力があるのに、なんで引っ越しせなあかんの!」
施設に入ることを勧めたときにそう言われたが、
お母さんは、「こんなに」ではなく「ほとんど」記憶力がないんだよ。
母「あんたは私のことなんもわかってへんわ!頭が悪いのはあんたやわ!」
…。
あなたのことを、ものすごくわかっているつもりですが…。
なんで頭が悪いとまで言われなきゃいけないのか…。
僕「おかあさん!さっきご飯は7時でエエって言うたやん!」
母「あっ!そうやったっけ?もう私ボケてるから。ハハハ。ゆるしてゆるして!」
もう!この都合のよさ!
何がボケてるだよ!
僕はこの時点でプチっと切れてお説教を始めるが、ひとつひとつ言い訳ばかりされて、その上、2階へ逃げられるのでした。
母が優れていることは「話を流すのがうまい」「逃げ足が速い」です。
それは息子にとっては、とってもとっても迷惑なことなのです。
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