土日の免業日を終えると、月曜日からまたピリっとした日々がはじまる。
刑務所なのでピリっとしてるのは当たり前だが、正直土日は少しゆるい。
新入教育期間は独居房なのでまわりは関係ないが、廊下を歩く職員もいつもに比べ少ない。
就業日(平日)は、忙しそうに歩く人も居れば、幹部職員の見回りもあり、職員も気を張っていて少しピリっとしている。
それに比べ免業日は基本見回りも一人なので足音で近くにいるか居ないかもわかるし、午後に幹部職員が来ることもあるが、こっちは本を読んでいたりで、外で何かを話してる雰囲気がするだけで、特になにもない。
ラジオを聞きながら、本を読みながら、刑務所のルールを覚えたりとしている。
ぐだっと横になっていたり、荷物を出しっぱなしにしたりしなければ基本何も言われない。
そんな免業日を過ごし、日曜の夜に、「よし、明日からまたがんばるか」と思い朝を迎える。
朝からまたいつもの雰囲気。
当たりのキツイ新入教育工場衛生係に、「はい出してください」と言われ、用意しておいた水筒と入浴道具を食器口から渡す。
他の部屋からおじさんが詰められているのが聞こえる。
衛生係「洗濯物っていつ出すんですっけ??」
おっさん受刑者「あ、、、えっと、、、水筒のあとでしたっけ?」
衛生係「違います」
おっさん「、、、、」
衛生係「無視?」
おっさん「あ、いや、、、、忘れました」
衛生係「あっそう、じゃあ出せませんね」
と会話をしたあと、食器口をこれでもかというぐらい強くバコーーーンと閉める音の後しーんとなる。。
これは新入教育期間の出房前のよくある会話。
ちなみに、市原刑務所に来た最初の週は考査期間として独居房で過ごすのは前述しましたが、考査期間の人はよくその怖さを知らず、衛生係に口答えする。
「聞いてません」なんて言ってしまう。
そんなことを言うと、「聞けばいいじゃないっすか。それともなに?こっちから言わなきゃいけないの?それが嫌なら刑務所来なければいいじゃん。」と感情が死んだ顔で言われる。
それにも反論すると職員が横から、、、、
「お前が聞くのが当たり前だろ!」と怒鳴られる。
衛生係は絶対的に守られているのか、、職員なのか、、、
ちなみに後々知ったことだが、この新入教育工場衛生係というものは、市原で優秀な人しかなれず、そしてその人は市原刑務所で一人しか選ばれない。
つまりエリート中のエリート。
理不尽という言葉を忘れた我々は当時は「そりゃ守られる訳だよねー」なんて会話をしていた。
こんな会話をよく聞くものだから、よく同期の人と「あの衛生係絶対刑務官だよ」なんて最後まで本気で話している人もいた。
さて話は戻り
その後新入教育工場担当職員がくる。
先程のおじさんのとこに行くと
担当職員「洗濯物出すタイミング忘れたの??」
おっさん「はい。。。。」
担当職員「で?」
おっさん「すみませんでしたぁーー!!」
担当職員「うるせぇ!大声出すな!」
おっさん「、、、、」
担当職員「好きにしろ」
との会話が聞こえる。
刑務官も全然助けねぇじゃねぇかよ、、、と思い聞いている。
ちなみに、好きにしろと言われたからって好きにすると懲罰になりますので、決して好きにしてはなりません。
職員からの「退出!」の号令に続き、「出ます!」と叫び出房する。
このあと洗濯物を出したりするのだが、またこの時に前期の者は、前述した通りの攻撃を受ける。
後期になると前期のお手本になろうとがんばる自分と、後期だからもう初歩的なミスはできないと2つの緊張で生活をする。
一度、私もお風呂のタイミングで怒られた。
合同で入浴なのだが、脱衣所はとても狭い。
もちろん横にぶつかることも多々ある。
そんなとき、「あ、、」と言ってしまった。
新入教育期間ということもあり、叱責だけで済んだが、当時はなんというミスをしてしまったんだと後悔をした。
こうして、新入教育工場 後期を過ごし始める。