アメリカにおいて奴隷廃止運動に前進をもたらしたと言われている

「アミスタッド号事件」とはどのようなものだったのか知りたくなり

その事件に関して書かれた本を数冊読み、映画を1本DVDで観ました。

 

今回は、その内容についてのメモのようなものです。

 

 

奴隷貿易はほぼ世界中で禁止されていたにも関わらず

アメリカの農場での労働力不足を補い、奴隷の売買がとても利益のあがるもので

あったため、毎年数千人ものアフリカ人が奴隷として密輸されていました。

 

※奴隷貿易とは?

  ヨーロッパまたは南北アメリカを出発しアフリカへ。

  この船には、奴隷商人と奴隷(アフリカ人)を取引するための品物を積んでいる。

  ↓

  アフリカ

  ここで奴隷(アフリカ人)を調達する。

  ↓

  アフリカから南北アメリカ(キューバのハバナなど)へ

 この航海が「中間航路」と呼ばれ、船に乗せられたアフリカ人は、耐え難い苦痛に苦しみ

 こんな地獄のような日々を過ごすのなら死んだ方がましだと考え、海に飛び込む者もい

 る。船の持ち主は飛び込んだ奴隷を助けるが、それは愛情からではなく、今後他の誰か

 が同じようなことをしないように、船に引き上げた後、皆の前で見せしめに残酷な目にあわ

 せるためである。

 ↓

 南北アメリカ(キューバのハバナなど)

 奴隷を売りはらう。

 ↓

 アメリカやヨーロッパの母港に戻る。

 

 

「アミスタッド号事件」の流れ

1839年1月

奴隷商人に手を貸して奴隷狩りを行っていたアフリカのヴィア族によって

センベというアフリカ人が捕えられる。彼が住んでいた地域のアフリカ人は

米の作り方を知っているので奴隷として高い値がつき、南カリフォルニアで

米作りに使われることが多かった。

 

センベは奴隷商人に売られ、ロンボコ島のバラクーンに入れられる。

 

※バラクーンとは?

 奴隷商人(ヨーロッパ人)は、最初自らアフリカ西海岸で奴隷狩りを行っていたが

後に、一部のアフリカ人と手を組み、自分たちが到着する前に彼らに奴隷狩りをさせ

集めた黒人たちを一時期入れておく収容所を作った。その収容所の呼称。

 

センベ 奴隷船へ(テコラ号)

(奴隷船の環境)

 奴隷商人の利益のために、できるだけ多くのアフリカ人が詰め込まれたので、1人あたりの

空間が棺の大きさよりも狭い中、鎖でつながれ、体を洗うこともトイレに行くこともできず、つな

がれている場所で用を足し、体の向きを変えるのにも一苦労するような状態で、夜は手首や足首、首にまで枷(かせ)をかけられて眠ることを強いられた。

 

 ささいなことでスペイン人の船員から鞭(むち)でうたれ、いっそ死んだ方が楽になるのでは

ないかという状況での航海。

 

 アフリカから南北アメリカへのこの航海が「中間航路」と呼ばれる。

 

 キューバでいったん下船。

 

 奴隷市場で、アフリカ人を奴隷として高値で売るために食事などの待遇が良くなる。

 

 ここから「アミスタッド号」に乗せられる。

 1839年6月にキューバのハバナ港を発つ。

 

 この船での奴隷の扱い方が、本によって説明が異なったりもしていますが

 

このままひどい目にあうのを我慢しているくらいならば

 

殺される危険を覚悟して船を乗っ取ろうと黒人たちは計画し船を乗っ取ることに成功。

 

しかし、彼らの母国にこのまま向かうという奮闘むなしく

 

船はアメリカのコネチカット州に到着します。

 

 

 捕えられたアフリカ人たちをどうするかに関して

奴隷制度廃止論者と奴隷制度支持者の闘争が法廷で始まります。

 

 自由を訴えるアフリカ人たち

 

 彼らを支援する弁護士

 

 アフリカ人は自分の奴隷であり財産でもあると主張するスペイン人の奴隷商人

 

 アミスタッド号にいたアフリカ人と積み荷を自分たちに返すようにと主張するスペイン政府

 

 アミスタッド号を救助した救助料を支払うようにと求める軍関係者

 

 次の選挙を気にして奴隷支持者の機嫌をうかがう現大統領マーチン・ヴァン・ビューレン

 

 最高裁判所での弁論で黒人の弁護団に加わった第6代大統領ジョン・クインシー・アダムス

 

 などが法廷で闘います。

 

 ※法廷での最後の場面は、映画「AMISTAD」が感動的なものになっています。

 

 

 1841年3月9日

 最高裁判所において、アフリカ人たちは自由だという判決が下される。

 これにより、2年という長い期間に及んだ裁判が終結しました。

 

 しかし、アフリカ人が故郷に帰るためのお金がなかったため

 奴隷制度廃止論者は募金活動に励みます。

 

 その間、アフリカ人たちは本当に母国に帰れるかどうか時にはやきもきしながらも

 聖書を学び、自分たちも募金活動に参加しながら過ごします。

 

 やっとお金も用意でき、彼らと一緒にアフリカに行き、キリスト教を広める牧師も決まり

 11月25日にジェントルマン号に乗り込み、出港。

 

 1842年1月中旬

 センベを含むアフリカ人がシエラレオネに到着。

 ついに自由を手に入れます。

 

 アミスタッド号のアフリカ人たちが裁判で勝利したことは当時驚くべきことであり

これをきっかけに、より多くの人が人間の自由を守る戦いに参加するようになった

とあります。

 

 ただし、その闘いがその後順調に進んだわけではないことを考慮すると

この事件は、以前大統領の職にあったジョン・クインシー・アダムスが

最高裁判所でアフリカ人たちを弁護したことが、結果に最も影響を与えたのではないか

と自分は感じています。

 

 

 この事件に巻き込まれていた時に子供だった数人がその後どうなったのか?

と、本を読みながら気になっていました。

 

 そのうちの1人マルグルーは

 自由になって帰国したその5年後アメリカに渡り

 オハイオ州のオバリン大学に入学。

 卒業後、アフリカで子供たちの教育に携わります。

 

 そして、本書の中心人物であるセンベに関しては

 その後についての様々な話がありますが、確固たる証拠はなく

 具体的なことはあまりわからないままです。

 

 気軽に数十分で読める本から、映像に圧倒されるDVDまで

 幅広い選択肢から興味に応じて選べるのでオススメです。

 

 

 

青少年読書感想文全国コンクールの課題図書にもなっていました。手軽に読めます。

 

 

詳しく知りたい人向けです。

 

 

ペンギンズヤングリーダーズ レベル4(洋書)です。

絵本のような感じで。単語も大きく読みやすく作られています。

 

 

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日本ではあまり知られていない映画かもしれませんが、スピルバーグ監督の作品です。

モーガン・フリーマンが出演しています。

映像はやはり迫力があります。