『美女と野獣』(びじょとやじゅう、原題: Beauty and the Beast)日本での公開は1992年9月23日。また、2002年にはIMAXシアター向けに同作品を作り直して上映、2010年にはディズニーデジタル3-D版が上映された。




プロローグ(ナレーターのみ)




「昔々、遠い国の輝くお城に若い王子様が住んでいました。
 王子様は何でも思いのままに出来ましたから、
 すっかり我が儘になり優しさを失っていたのです。」

「ある夜、お城に年取った物乞いの女が来て、一夜の宿を恵んでほしいと言い、
 一本のバラを差し出しました。
 でも王子様はそのみすぼらしい姿をバカにして老女を追い返そうとしたのです。
 老女は、見かけに騙されて人の心の美しさを見逃してはいけないと言いましたが、
 王子様は聞き入れませんでした。」
「すると、老女の醜さが急に消え美しい魔女の姿が現れたのです。
 王子様は謝ろうとしましたが手遅れでした。
 魔女は罰として王子様を恐ろしい野獣の姿に変え、お城に強力な魔法をかけました。」
「野獣は自分の恐ろしい姿を恥じて、お城の中に閉じこもりました。
 魔法の鏡だけが外の世界を見る唯一の窓でした。
 魔女のくれたバラは本当に美しい花でした。
 花は咲き続けて、その花びらの最後の一枚が落ちるまでに、
 王子様が愛することを学び、そのお返しに愛されるようになれば、
 この魔法はとかれるのです。
 でもその期限が過ぎたら、王子様は永遠に野獣の姿のままです。
 年月が流れ、王子様はすっかり希望を失いました。
 いったい誰がこんな野獣を愛してくれるのでしょう。」




朝の風景//Bell//




ここはしずかな町 いつも同じ朝
みんな目を覚まして 呼びかける

ボン・ジュール! ボン・ジュール!
ボン・ジュール! ボン・ジュール! ボン・ジュール!
 
いつもと同じパン屋さんが パンを売りにくる
毎朝同じ顔ぶれだから みんなおなじみ
おはよう ベル

(おじさんおはよう)
(どこへ?)
(本屋さん すてきなお話を読み終わったの 豆の木とこわい鬼の)
(それは よかった!マリー! フランスパンを! 早く!)

ごらんあの娘はいつでも 少し風変わり
夢見る瞳 空想ばかり
なぞめいた娘だよベルは

ボン・ジュール!おはよう!ごきげんいかが?

ボン・ジュール!おはよう!奥様は?

たまごを!ちょうだい!(とても高いよ)

すてきなことが欲しい

(あー、ベル)
(おはようございます 借りた本をお返しします)
(もう読んだのかい?)
(一気に読んでしまったわ 新しい本ない?)
(ハハ、そんなに早くこないよ)
(それじゃ いいわ~え~えと 今度はこれにする)
(これかい? もう3度目じゃないか)
(でも好きなの 遠い国で決闘や、魔法や変身した王娘さま!)
(そんなに好きだというんならこの本をあげるよ)
(わるいわ)
(いいんじゃよ)
(ありがとう!うれしい ありがとう)

ごらんあの娘はいつでも 少し風変わり
夢見る瞳 本を読みふける
なぞめいた娘だよベルは

 ああ なんてすてき 胸がときめく見て、
 そう 気付かないのよ。王子さまが彼だってことが

ほんとに彼女は美人 他の誰よりも
でも あの娘には ミステリアスな謎めいた部分が
あの娘は確かにとても風変わりな娘

(ハハハハ)
(わー 百発百中だ ガストン世界一のハンターだよ)
(わかってる)
(どんな動物も あんたに狙われたら一コロだ 女もそうだけどな)
(そうとも ル・フウ 今俺は あの娘に目をつけてるんだ)
(発明家の娘に?)
(そうだよ 俺は あの娘と結婚するんだ)
(だけど…)
(この町一番の美人だ)
(でも それは…)
(最高の結婚相手だよ それとも 俺には ムリだと言うのか?)
(でも どうやって…)

一目見たその時から もう恋のとりこ
だから口説いて結婚しよう ベルは俺のものだから

ほら 見て イカしてる
ムッシュ ガストン 大好き
ドキドキ夢心地 なんて男らしいの

ボン・ジュール
失礼!やあ、どうも!もちろん
これがベーコン?
ぶどうを!チーズを!
10ヤード
1ポンド
ごめんよ!ナイフを

通して!

パンを!どうぞ!あらま
くさい!
とんでもない
そうかな

もっと夢が欲しいの
あの娘は俺のものだ

ごらんあの娘はいつでも 少し風変わり
夢見る瞳 空想ばかり

なぞめいてるファニーガール
美しいファニーガール
誰と結ばれる ファニーガール

ボン・ジュール!ボン・ジュール!ボン・ジュール!
ボン・ジュール!ボン・ジュール!




ベルのひとりごと






(行ってしまった?)
(信じられる?)
(結婚をもう込むなんて!)
(私が…)
(あの乱暴な…)
(あんな人の…)
(妻なんて…)

ミセス ガストン
考えられない
ガストン夫人
ご冗談
絶対イヤよ!
死んでも彼と結婚なんてできない

もっとすてきな世界が
私を待ってる
神様だけがご存じだから
すばらしい未来を




強いぞガストン




(あの娘はお高くとまってる 男を見る目が全然ないんだ、このガストンに ノーと言うとは!)
(ハハ、その通りさ)
(この俺を 断って人前で恥をかかせたんだ。思っただけでも腹が立つ)
(もっとビールは?)
(何のために?何の役に立つ?面目 まるつぶれだ)
(おい? あんたが?とんでもない ガストンもっと しっかりしろ 自信を持つんだよ!)

君が心配だガストン 落ちこんでるね
みんなのあこがれガストン 元気をだしなよ

誰もが君に夢中 そりゃ ステキなやつさ
どこがステキかなんてさ きかれても困るけど

イカしてるガストン すばしこいガストン
首は太くたくましいガストン
誰より男らしく 完璧なヒーロー
町の誰にきいても ボスは君だと答えるさ

みんなのガストン 強いぜガストン
ステキなアゴをしてるガストン

そうさ俺はイカしたやつ

たたえようガストン
英雄に乾杯

ガストンこそみんなの誇りさ

すごいぞガストン 負けるなガストン
ガブリとかみつくやつガストン
しびれちゃう とてもステキ
これくらいヘイチャラ
均整のとれたボディ(そうさ)胸毛もはえてこの通り

それゆけガストン がんばれガストン
どんな汚いゲームでもガストン
つばをとばさせりゃ一番ペッペ
10点満点!!!!

ガキの頃には毎日 食べたタマゴ4ダース
でも今じゃ60個食べて 筋肉はモリモリ
すごいぞガストン 射撃もガストン
ブーツをはけば無敵さガストン

見てくれよこの鹿の角

強いぞガストン




(助けて 誰か助けてくれ!)
(モーリス?)
(お願いじゃ どうか助けてくれ!やつは あの娘を牢屋に閉じこめた)
(誰を?)
(ベルじゃ すぐ行こう ぐずぐずしてる暇はない)
(おい 落ち着けよ モーリス 誰があの娘を牢屋に入れた?)
(野獣じゃよ あの恐ろしくて おっかない野獣だ)
(そりゃ 大きな野獣か? とても長くて醜い? 鼻か?)
(ものすごく醜い!)
(するどい牙は?)
(持っていた ああ もちろんさ 助けてくれ!)
(いいとも じいさん 助けてやろう)
(本当か?それは ありがたい ありがとう)
(頭のヘンなじじいだ あいつはいつだって笑い者さ)

(あわれな老いぼれモーリス う~ん?)
(あわれな老いぼれモーリス ふ~ん)

俺は考えた (危ないことかい?)
ん~ん まかししとけ
やつは彼女のパパ 狂ってる訳じゃない
ベルは俺の花嫁に いつかきっとそうなる
誰にも邪魔させないから 作戦を練ろうぜ

(もし俺が)(それで?)
(そうすりゃ)(そりゃまずい)
(考えろ)(なるほどね)
(よしやろう!)

すごいぜガストン 天才ガストン
完璧な作戦だねガストン
おめでたいニュースをきかせて
強いぞガストン




ひとりぼっちの晩餐会




(いとしの マドモアゼル)
(今宵 あなたをお迎えしますことは最高の誇り 最大の喜びです)
(では どうぞおくつろぎください)
(ゆっくり お掛けになって)
(お城のキッチンがうでによりをかけましたディナーを!)

ようこそ どうぞ 大事なお客さま
首にナプキンをかけてごゆっくり
スープ・ドゥ・ジュール オードヴル
どれもお味は天下一品
一度食べたらトレビヤン
お疑いなら お皿に聞いて

歌って 踊って 豪華なひととき!
フランス料理は最高さ
ごらんください メニューひらき
あなたは大事なゲスト

シチューにスフレ!プリンにソルベ
どれもおしゃれですてきなできばえ
たとえお客がおひとりだけでも まるでパーティのように楽しく
手品に呪文 キャンドルをたてて

しかも お味は完璧
さぁみんなでグラスあげて
今宵は
ほら そんな悲しい顔しないで!
お客様に ようこそ

人生は でも むなしくすぎてゆく
給仕もできないウェイターなんて
ああ 楽しかった あの日々
ふいに すべて消えた

(10年間なにもできず自慢のうでをふるうこともできず
すっかりなまけていつかさびついて)

お城でまいにちゴロゴロ
そしたらとつぜん こりゃたまげた!

お客さまよ!うれしいことね
ワインをついで ナプキンそろえて
デザートには おいしいお紅茶を
カップが踊ってるまに お茶をいれて

蒸気が歌う
まぁ大変 シミかしら
すぐにふいておかないと
用事はどっさり ご満足は? 
お客さま いかが
いかがですか

ようこそ大事な大事なお客さま
ご注文は なんなりとご自由に!
楽しい歌とキャンドル・ライト
豪華けんらんな夢ものがたりを

ご ち そ う
あ れ も こ れ も(もうたくさん!)

食べすぎにはご用心
夢のような 夜をどうぞ
ようこそ大事な大事な
お 客 さ ま




愛の芽生え




優しく親切だけど
見かけは意地悪よ
それでも不思議ね
なぜか憎めない気がする

彼女が僕を見て
そしてほっと触れてくれた
怯えても震えてもいない
優しい眼差しで

ねえ とても不思議
胸が熱くなるの
二人でいると
何かが彼の中に見える

驚いた
もちろん 意外だ 本当に
まさか こんなことになるなんて
見守って そう 待って もう少し
何かが芽生えているから
(今までになかった何かが)
芽生えているから (何が?)
何かが芽生えているのよ
(何があったのママ?)
(しー、大きくなったら教えてあげるよ)




美女と野獣




すばらしい ものがたり
おずおずと ふれあうわ
指と指
ほんのすこし
すこしづつ やさしさが
ひらいてく
愛のとびら

真実は
ただひとつ
しあわせは 隠せない 
誰の目にも

なつかしい
歌のように
凍りつく 季節さえ
変えながら
ほんのすこし
すこしづつ
やさしさが ひらいてく
愛のとびら
やさしさが ひらいてく
愛のとびら
(食器棚へお行き もう寝る時間だよ)
(ふぁー)(おやすみ…)




夜襲の歌




(野獣は子供達をさらっていくぞ)
(夜になるとやってくる)
(まさか!)
(やつの首を切り落とすまでは安心できない)
(みんなで野獣を殺すんだ!)

やつを殺すまで
安心できない
お願い! 子供達を野獣に食べさせないで頂だい
このままだと村はメチャクチャだ
勇気をふるいおこして立ち上がれ

闇と霧と謎に包まれた森をつきぬけて進め
祈りを口に
やつのひそむ城へと
はやる気持ちおさえ
やつの牙はするどく
ツメは獲物をえぐる
ほえる声が夜の闇に響く
やっつけろ

(野獣を殺せ!)
(やめて! そんな事しないで!)
(反対する者は俺達の敵だ)
(父親を連れてこい!)
(やめろ 手を離せ!)
(この親子はきっと野獣に密告するぞ)
(あー、出して!)
(野獣からこの町を守るのだ!)
(俺についてくる者は?)

燃やせ炎 憎しみをかきたて
勇気ある旗のもと
暗い霧の不気味な森の中を
山のように大きな
野獣めざし進め
正義のため 剣をふるえ
勇気を出して
(城を攻撃してやつの首を持って帰るのだ!)

(彼に知らせないと)
(全部 私が悪かったの)
(ねえ パパ どうすればいい?)
(落ち着くんじゃ…何とか考えよう)

得体知れぬものは
例え誰でも怖くてたまらない
だから殺せ
正義のためだと勇気を出して
戦え!

(わかっていたよ なまじ希望を持ったのがいけなかった)
(あんな娘なんか この城へ来なければよかった…)
(もしかして?)
(ベルかしら?)
(何てこった 侵入者だ! 侵略者だ!)
(鏡を持ってるわ)
(ご主人に知らせよう)
(戦いがお望みなら受けて立つぞ!)
(アーアッ! 欲しい物は何でも持っていけ)
(でも いいか 野獣は俺がやる!)

進め 進め はむかうやつらは
みな残らずやっつけろ
歌をうたえ
勝利の女神は我らの上に
戦え!

(失礼します ご主人様)
(ジャマしないでくれ)
(でも城が攻撃されています)
やつを殺せ
(これはまずい)
(ねえ ルミエール 何とかしないと)
(待て わかったぞ)
殺せ! 殺せ!
(どういたしましょう ご主人様)
(もうかまわないよ 来るにまかせよう)
殺せ!
殺せ!
殺せ!




奇跡の変身






語りつぐ
ものがたり
やさしさで
ひらかれた 愛のとびら
しあわせなしあわせな ものがたり…