親子で読んでいて、涙が出そうになったお話。

最後の文は、まともに読めませんでした・・・(´□`。)


いちょうの実


空のてっぺんなんかつめたくてつめたくてまるで

カチカチのやきをかけた鋼です。

そして星がいっぱいです。

けれども東の空はもうやさしいききょうの花びらのように

あやしい底光りをはじめました。

その明け方の空の下、昼の鳥でも行かない高いところを

するどい霜のかけらが風に流されてサラサラサラサラ

南の方へ飛んでゆきました。

じつにそのかすかな音がおかの上の一本のいちょうの木に

聞こえるくらいすみきった明け方です。

いちょうの実はみんな一度に目をさましました。

そしてドキッとしたのです。

今日こそはたしかに旅立ちの日でした。

みんなも前からそう思っていましたし、

きのうの夕方やってきた二羽のカラスもそういいました。


~中略~

(いちょうの木(親)からいちょうの実(子ども)が一人立ちするお話です

いちょうのこどもたちは、親からはなれることを覚悟していろいろ準備をして、

「さよなら、おっかさん」といって旅たちます。おっかさんも、子ども達を心配して

はっか水や外套を準備してあげます。)



北から氷のようにつめたいすきとおった風がゴーッとふいてきました。

「さよなら、おっかさん。」

「さよなら、おっかさん。」

こどもらはみんな一度に雨のように枝から飛びおりました。

北風がわらって、

「今年もこれでまずさよならってわけだ。」

といいながらつめたいガラスのマントをひらめかして

むこうへ行ってしまいました。

お日さまはもえる宝石のように東の空にかかり、

あらんかぎりのかがやきを悲しむ母親の木と

旅にでた子どもらとに投げておやりなさいました。