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潜水服はモスラの夢を見る

主に映画の感想を語るブログです。

*本記事は2018年1月21日にyahooブログにアップしたものです。yahooブログが本年末に閉鎖されてしまうので、こちらに転載します。

 

嘘八百

 

 

制作国:日本(2018年)

監督:武正晴

脚本:足立紳、今井雅子

プロデューサー:永田博康

主演:中井貴一 佐々木蔵之介ほか

 

 

評価★★☆☆☆(星2つ)

 

WOWOWぷらすとの冬のトレーラー祭りで紹介されていたので期待して観たのですが、正直微妙でした。中井貴一の演技が良かったこと以外はあまり良いところが無かったです。大まかなあらすじはこんな感じです。

 

冴えない古物商小池則夫(中井貴一)は偶然訪れた民家の蔵で千利休が使った茶器とその送り状と箱を発見する。民家の主の野田佐輔(佐々木蔵之介)に贋物だと偽って安値で買い取るが、後日受け取りに行くとそれらが全て偽物とすり替えられていた。気づいた則夫は佐輔の後をつけ、佐輔が陶芸家で現在は主に贋物作りをしていること、送り状と箱は本物だが茶器は初めから佐輔が作った贋物だったことを知る。偶然にも二人とも鑑定士の棚橋(近藤正臣)に因縁があったことから、二人は協力して棚橋から金をだまし取ることを画策する。

 

*ここからネタバレです

 

 お話としては佐輔の贋物作りの仲間で力を合わせて偽物の送り状、箱、茶器をそろえ、見事に鑑定士棚橋を騙してそれらを高額で買い取らせることに成功。しかし騙し取ったお金は則夫の娘(森川葵)と佐輔の息子(前野朋哉)が結婚し、そのまま持ち逃げする。残された二人は贋物ではなくきちんと佐輔が作った茶器を売ること目指して新天地へ旅立つ…というものでした。

 佐輔の贋物作りの仲間が揃うシーンまでは結構楽しめたのですが、そこから段々トーンダウンしていったなぁ…というのが正直な感想です。なんというか全体的にお話の中での個々要素が上手く相互に噛み合っていないような気がしました。

 一番気になるのは、主人公二人の娘、息子が結婚してお金を持ち逃げする場面です。いろんな方が既に指摘している通り、このくだりが非常に唐突です。詐欺行為で儲けたお金で大喜びしている父親に子供達が一泡吹かせる、ということだと思うのですが、お話としては割と則夫と佐輔に感情移入するように出来ているので、痛快というよりむしろ、単に親不孝な子供にしか見えませんでした。(そもそもこの子供二人の描かれ方がとても幼かったので、私は二人が結婚するまで高校生ぐらいの設定だと思って観ていました。特に佐輔の息子役の前野朋哉は『桐島部活やめるってよ』のイメージが強いので余計にそう思ってしまいました)。

 また、肝心の鑑定士の棚橋をだます場面で、劇団型に色んな人が出てきてそれぞれに芝居をするのですが、誰がどの程度の事情を知っている協力者なのかわからない、というのも単純にお話の作りとしていまいちだと思いました。そもそもこの棚橋というキャラクターは贋物をわざと本物と鑑定して、高値で売りつけることを生業にしているので、本物(と思われる)千利休の茶器をこの人が買う理由が無いのではないかと思います。

 もう少し細かいところだと、則夫以外の登場人物は千利休の本物の送り状や箱を扱うのが雑、というのがギャグとして時々出てくるのですが、則夫も本物の送り状をベタベタ素手で触っていますし、飲食店のカウンターに置いたりしていますから、このギャグがほとんど機能していなかったように思います。

 ほんとは★一つでも良かったのですが、中井貴一のコミカルな演技はとても良かったので一応二つとしておきたいと思います。