僕たちのラストステージ
制作国:イギリス、カナダ、アメリカ(2018)
上映時間:98分
日本公開日:2019年4月19日
監督:ジョン・S・ベアード
脚本:ジェフ・ポープ
撮影:ローリー・ローズ
出演:スティーブ・クーガン、ジョン・C・ライリー 他
あらすじ:1937年、スタン・ローレル(スティーヴ・クーガン)とオリバー・ハーディ(ジョン・C・ライリー)によるお笑いコンビ、ローレル&ハーディは、観客からも批評家からも愛され、出演映画は世界中で上映され、ハリウッド・コメディ界の頂点に君臨していた。1953年、ローレル&ハーディは、イギリスでホールツアーを開始するも、既に二人は過去の人になっていた。待遇は悪く、客席もガラガラ。互いを笑わせあいながら、過酷なツアーを頑張って続けるうちに、やがて二人はファンを取り戻していくが、ある日の口論をきっかけに、オリバーはコンビ解消を心に決め、スタンに「引退する」と告げる―――。(公式サイトより)
評価:★★★★★
◆感想(ネタバレなし)
ローレル&ハーディは実在の非常に有名な実在のコメディアンだそうです。不勉強なもので今作を観るまで全く知りませんでした。
本作の何が素晴らしいってこの尺です。98分しかありません(余談ですが『アベンジャーズ エンドゲームは182分あるらしいです。約2倍
)。本作がこの短い時間で収まっているのは、全体的に飾らない映画だからだと思います。終盤の主人公二人の口論~仲直りの展開が一応見せ場なのだと思いますが、ここを変に盛り上げたりはしません。短いけど粋なやり取りで仲直りします。この二人の多くは語らなくても分かり合っている関係性が象徴されるシーンになっていたと思います。
二人が過去の人になってしまったことを示す塩梅も絶妙です。劇場に来るお客さんは少ないですが、来た人はみんな爆笑していてます。彼らは出場作品が減ってしまったからもう引退してしまっていると思われているだけで、人気とコメディセンスは健在であることがわかります。この二人が現役であることを知ったおばさんが“最前列を2枚!!”というシーンはそれが象徴されます。そして、それが序盤でちゃんと示されているのでトントン拍子で来場者が増えていくことに何の違和感もありません。このどん底からの再起の件を見せ場にせず、さらっと描いたのもスマートだったと思います。あくまで本作が主題とするのはこの二人の関係性であって、この二人と世間の関係性ではないためなのだと思います。
必要な描写を必要なだけして大げさなことは何もしていません。でも確かにこの二人の関係性の奥行を感じられる素晴らしい作品でした。
*以下ネタバレあり
◆ネタバレ
オリバーは心臓の疾患を患っていることがわかり、医者から舞台の出演を止められてしまう。そのことをスタンに話し引退することを告げる。スタンは別のコメディアンと組んでの仕事を断り帰国しようとするが、そこにオリバーが表れる。オリバーもまたスタンと組んで仕事を続けたい情熱を抑えられなかった。二人はともにアイルランドに向かい最後のステージを披露する。1957年にオリバーは亡くなる。スタンは1965年に亡くなるまで二人が主演の作品の脚本を書き続けた。
◆感想(ネタバレあり)
二人が最後のステージで披露する演目を中盤で一度観ることができるのですが、この時は観客である我々も劇中のお客さんたちと同じで立場でこの舞台を眺めるだけです。これがクライマックスではそれを披露している最中の舞台袖やセットの裏で、二人がどんなやり取りをしていたのかを観ることができます。この視点の転換がとても良かったです。
クライマックスで二人が躍るダンスは冒頭で二人が躍っていたものなのですが、その時流れる音楽の歌詞がこの二人の関係性とリンクしているのも感動的でした。
◆まとめ
・タイトな作りの映画。大げさなことはしないが、それでも主人公二人の関係性が感じられる素晴らしい作品。