【映画の感想 No.30】カメラを止めるな! | 潜水服はモスラの夢を見る

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*この記事は2018年8月19日にyahooブログに投稿したものです。yahooブログ閉鎖に伴いこちらに転載しました。

カメラを止めるな!

                      

制作国:日本(2017年)

上映時間:96分
監督:上田慎一郎
脚本:上田慎一郎
出演:濱津隆之、真魚 他

あらすじ
とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けるが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していき……。(映画.comより)

評価:★★★★★

◆感想(ネタバレなし)
基本的にホラーもパニックも苦手なので「ゾンビ映画」というだけで敬遠していたのですが、あまりに評判が良いので観てみました。結論から言うとメチャメチャおもしろかったです。ホラーが苦手でも全然観れます
グッド!ただ、いろんなところで言われていますが、事前に情報を入れない方が絶対に良いタイプの映画なので、未見の方はここから下は読まないことを強くお勧めします。
*以下ネタバレです











◆ネタバレ
クルーが次々とゾンビ化し最後に生き残ったヒロインが屋上に出てきたところでカットの声がかかり、“とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来する”というあらすじのワンカットのドラマ『ONE CUT OF THE DEAD』の撮影が終了する。

話はその一か月前に遡り、再現ドラマやカラオケのプロモージョンビデオを主に手掛けていた監督の日暮(濱津隆之)に、『ONE CUT OF THE DEAD』の監督オファーが来たところから始まる。日暮はキャストやプロデューサーに媚びるばかりで情熱を失った監督であり、当初そのオファーを断るつもりでいたが、娘の真央(真魚)が主演の俳優(長谷和彰)のファンであること知ってオファーを受ける。

役者がみな癖のある人達ばかりの上、撮影が始まってから思わぬアクシデントが続く。しかし、生放送でワンカットが売りのドラマなのでカメラを止めることはできない。撮影の裏で終始日暮をはじめとするスタッフはトラブルの対処に追われることになるが、どうにか撮影を終えることになる。


 

◆感想(ネタバレあり)
「ゾンビ映画」と言われていますが、実際にはゾンビ映画(ドラマ)を撮ろうとする人たちの悪戦苦闘を描いたコメディなので、ホラーでもゾンビ映画でもありません。TBSラジオのアフターシックスジャンクションで上田監督が三谷幸喜に大きな影響を受けたことをコメントしていましたが、三谷幸喜の『ラヂオの時間』がとても今作に近かったと思います。でも『ラヂオの時間』よりおもしろいです。

何より素晴らしいのは、『CUT OF THE DEAD』のシーンは本当にワンカットで撮影されているので、実際のキャスト、スタッフがこの作品内のキャラクター達と似たような経験をしているというのがメタ的にわかる作りになっているところです。そのためワンカットの撮影を必死にやり抜こうとするキャラクター達の情熱に、実際にこの『カメラを止めるな』の作り手である人達の情熱が重なるような感じがするのです。これはもう最初に実際にワンカットの作品を見せて、次にそれが作られる過程を描く、というお話の構成のアイディア勝ちと言ってよいのではないかと思います。エンドロールで実際に『CUT OF THE DEAD』のシーンを撮影している様子が映されるのですが、それになんとも言えない感動があります。

そして偉いのがそういったメッセージを伝えることだけに終始せず、撮影で起きるアクシデントの数々がコメディとして単純に可笑しくて、娯楽作品として良くできているところだと思います。

また、『CUT OF THE DEAD』には明らかに変なシーンがあり、その変な部分の理由が後半の撮影シーンでわかることになります。これだけでも面白いのですが、上手いのは一見普通に観えていたシーンも実はアクシデントだったという展開随所にがあることです。そのため無事に撮影が終わるという事の顛末が分かっていても、次に何が起きるのかわからず飽きずに観ることができるようになっています。

各方面で絶賛されていますが、それも納得の素晴らしい作品だと思います。暫定今年のベストです。

まとめ
・お話の構成を通して、実際の作り手の情熱が伝わってくる。
・コメディとしてとても良くできている。傑作。