【映画の感想 No.50】シャザム | 潜水服はモスラの夢を見る

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シャザム

 

         

制作国:アメリカ(2019)

上映時間:132分

日本公開日:2019年4月19日

監督:デビット・F・サンドバーグ

脚本:ヘンリー・ケイデン

撮影:マキシム・アレクサンドル

出演:サカリー・リーバイ、アッシャー・エンジェル 他

あらすじ:ある日、謎の魔術師からスーパーパワーを与えられた少年ビリーは、「S=ソロモンの知力」「H=ヘラクラスの強さ」「A=アトラスのスタミナ」「Z=ゼウスのパワー」「A=アキレスの勇気」「M=マーキューリーの飛行力」という6つの力をあわせもつヒーロー「シャザム(SHAZAM)」に変身できるようになる。筋骨隆々で稲妻を発することができるが、外見は中年のシャザムに変身したビリーは、悪友のフレディと一緒にスーパーマン顔負けの力をあちこちで試してまわり、稲妻パワーをスマホの充電に使ってみるなど悪ノリ全開で遊んでいた。しかし、そんなビリーの前に、魔法の力を狙う科学者Dr.シヴァナが現れ、フレディがさらわれてしまう。遊んでいる場合ではないと気付いたビリーは、ヒーローらしく戦うことを決意するが……。

 

評価:★★★★☆

 

◆感想(ネタバレ)

予告編ではあまり強調されませんが、主人公ビリーはなかなかハードな生い立ちの人物です。幼いころ遊園地で母親とはぐれてしまったことをきっかけに孤児となります。実母に会いたいビリーは里親に出されてはしょっちゅう逃げ出して自分と同性の女性を探し回っていましたが、全て別人で意気消沈しています。

 

そんな中で新たにバスケス夫妻がビリーの里親になります。この夫妻が良い里親であることは、他の里子の子供達の描かれ方を通して伝わってきます。どの子供達も個性的ですが、夫妻はそれぞれの個性を受け入れて育てている様子がビリーに子供達を紹介する短い場面の中で伺えます。しかし、そんな良い里親、兄弟に巡り合えてもビリーは心を開けません。今作はそんなビリーが家族に向き合う物語です。

 

一本の映画の完成度としては微妙なところもあるのですが、ラストこの里親のお母さん(マルタ・ミランス)が見せる表情が素晴らしいので星4つとしたいと思います。

 

コミカルな作品であることが強調されていますが、ユーモアの部分だとマーベルの作品が既に同じようなことをやっているので、アメコミ映画としてのこれにはあまり真新しさは無かった気がします。

 

ビリーがフレディと一緒にスパーパワーの実験をする場面は音楽の『Don't Stop Me Now』が凄く合っていてとても良かったです。

*以下ネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ネタバレ

里子の兄弟たちの加勢でビリーはピンチを脱する。魔術師が自分にパワーを与えたときの言葉から、ビリーは自分のスーパーパワーが兄弟に分け与えられえるものであることに気付く。スーパーパワーを得たビリーと5人の兄弟達は協力して遊園地でシヴァナを倒す。

 

 

◆感想(ネタバレあり)

上にも書いたように一本の映画の完成度としては微妙なところもあります。

 

最大の問題点はヴィランの描き方にあったと思います。どうしてシヴァナがシャザムに成れなかったのかがいまひとつ明確ではありません。劇中の理屈で言えば真の善人ではなかったから、ということなのかもしれませんが、ビリーだってシャザムの力を手に入れた後に7つの大罪=「傲慢」「憤怒」「嫉妬」「怠惰」「強欲」「大食」「色欲」に相当することをやっていますから“真の善人”と言えるのか怪しいところです。シヴァナがヴィランと成ってしまった直接の原因がシャザムに成れなかったことそのものというのもあまり上手くないと思います。シャザムに成れたビリー成れなかったシヴァナとの差をもう少し対比的に示して欲しかったと思います。

 

それから兄弟達の描かれ方ですが、フレディ以外の3人がビリーと絡むシーンがお話の後半までないのは個人的にはあまり良くなかったような気がします。クライマックスであれだけ活躍する兄妹達なので、ビリーとのやり取りの中でもう少しキャラクターを立たせて欲しかったです。

 

他には中盤でビリーが初めてシヴァナと対決する場面は違和感を感じてしまいました。突如自分に匹敵する力を持つ人物が襲ってきたことに対して、怯えているのかと思ったら突然飛べるようになったことにはしゃいだりしてして、この時のビリーの感情の動きにはついていけませんでした。この戦いの中で明らかにビリーの一番の武器である手からの電撃を使わなかったのも気になりました。

 

ただ、家族を取り戻すビリーの物語としては良かったです。ビリーが実母とはぐれてしまい(実際には捨てられてしまい)悩みを抱えるきっかけになったのは遊園地ですが、クライマックスの舞台も遊園地なのは戦いだけでなくその悩みに決着をつける場でもあったからなのでしょう。

 

ネタバレなし感想でも書いた通り、最後に食卓を囲む場面で、ビリーがそれまでずっと参加していなかった家族の習慣に参加したときのお母さんの表情が素晴らしかったです。家族として認めあえる喜びが必ずしも親から子への一方的なものではなく、子から親にも向けられる双方向のものであることを端的に示していたと思います。ビリーは親からの愛を乞うだけの子供から、親に愛を返せる人間に変わったということのようにも思いました。

 

 

◆まとめ

・一本の映画の完成度としては微妙なところ。

・ビリーが家族を取り戻す話としては良かった。