「濡れた赫い糸」という作品が有ります。

高岡早紀が33歳で、女優として一番、脂が乗っている頃の作品です。

大阪の遊廓を舞台に、そこの娼婦を利用する男「女師」が下働きから経営者に上り詰める様を描いた小説『実録 女師 遊廓 信太山エレジー』の映画化作品です。

高岡早紀は演技が上手いと言われていますが、本作でも確かに肩の力が抜けていつつ、かつ観客を惹きつける、不思議な魅力を醸し出しています。
遊郭の物語だと、自堕落と暴力の蔓延する退廃したイメージがどうしても先行しますが、本作は、そういう話しが主体では無く、色街で暮らす人々のどちらかと言えば穏やかな日常生活を中心に、その中で男女諸々の生き様が交錯する人間模様を描いています。

高岡早紀の正反対の役柄を、あの仮面天使ロゼッタのヒロインを演じたアイドル、当時23歳の吉井怜が、体当たりの演技を見せています。彼女は、2000年に骨髄性白血病に罹っていますので、本作品は、奇跡の回復後の作品となります。

男優は、北村一輝と奥田瑛二が渋い演技でストーリーを引き締めています。

作品のネタバレ無しの概要は以下になります。

出会った女は色町の娼婦だった。女を追って男は色町へ辿り着くが、女は男の前か ら行方をくらます。
一年後、別の娘を“町”の娼婦として働かせる男の前に、再び女が現れた…。出逢いと別れを繰り返し、愛と嫉妬、猜疑心が絡み、もつれてゆく。
架空の色町“忍山”を舞台に、肉体(からだ)で生きる女たちと、彼女たちに運命を感じた男の、悦びと哀しみに満ちた官能ラブストーリー。

望月六郎監督の官能ラブ・ストーリー映画。架空の色町を舞台に、肉体で生きる女たちと、彼女たちに運命を感じた男の愛や嫉妬を鮮やかに描く。北村一輝や高岡早紀らの迫真の演技には圧倒される。