2017年に目黒駅前にタワーマンション「ブリリアタワーズ目黒」が完成し、かなり話題になりました。一方、2019年6月に上野不忍池公園のまん前の池之端1丁目の高級中華料理店「東天紅」の右隣に「Brillia Tower上野池之端」が完成しました。
「ブリリアタワーズ目黒」が目黒駅から徒歩1分のマンションなので人気が有るのは当然ですが、「Brillia Tower上野池之端」も実は、「知っている人は知っている」、そのロケーション的な価値は極めて高い秀逸な物件です。
池之端は、区で言えば台東区に属しています。台東区というイメージは、上野界隈の猥雑なイメージがまず思い浮かび、あまり居住地としては良質な感じがしないかと思います。台東区は、上野、浅草、蔵前、駒形、三ノ輪、根岸、谷中と総じて庶民的な下町の雰囲気では有りますが、池之端だけは実は別格なのです。
これは、実際に池之端を自分の足で歩いていた方はよくわかっていただけると思いますが、池之端は、上野、御徒町に隣接していて、その猥雑な喧騒とは打って変わって、瀟洒な住宅街なのです。そして池之端は1丁目から4丁目までしか無く、自転車で移動すれば10分で一周出来る位、こじんまりしたエリアです。
その中でも不動産会社の方に教えていただいたのですが、池之端1丁目と言う住所は、知る人ぞ知る「ブランド住所」だそうです。例えば、「元麻布」などが「ブランド住所」では有名ですが、拘る人は、池之端では1丁目という住所に拘るそうです。
これにはそれなりの理由が有って、1丁目エリアというのは、上野恩賜公園の不忍池の真正面の一画で、そこは歴史的にも文化人が多く住んだことからもわかる通り、非常に住環境に優れた閑静な住宅街だったのです。
有名な所では、三菱財閥の岩崎家の本邸(現「旧岩崎邸庭園)」、日本画家の大家である横山大観の住居(現「横山大観記念館」)などが1丁目に有りました。そして、その裏側には東大付属病院が隣接して建っています。ちなみに三丁目になりますが、水月ホテル鴎外荘は、元森鴎外が住んでいた住居も有ります。
このように池之端は、閑静な住宅街で文化の香りのするエリアと言うだけで無く、交通利便性にも優れています。地下鉄千代田線「湯島駅」から徒歩4分ですし、JR「御徒町駅」や上野公園内を突っ切ってJR「上野駅」にも徒歩圏内で行く事が可能です。また、この御徒町の隣には日本最大の電気街「秋葉原」が有り、御徒町駅から1駅です。歩いても15分、自転車だと10分かからないでしょう。
更には上野公園には、9つの美術館、博物館が有る都内最大の文教エリアが有り、その中でも「国立西洋美術館」は都内唯一の「世界遺産」でも有り、これからのインバウンド需要で更に注目されているエリアでも有ります。
更に池之端の御徒町、上野方面とは反対方向に目を向けると、徒歩8分で根津駅が有ります。最近、「古き良き東京」の風景を残すエリアとして日本人はもとより観光に来た外国人にも人気の高い、所謂、「谷根千(谷中、根津、千駄木)」エリアに繋がっていますので、池之端から自転車で散歩がてらに下町散歩が簡単に出来ます。自転車を使えば浅草雷門までも15分で行けてしまいます。
これから、日本人全体が高齢化していく時代は、むしろこういうエリアの方が高齢者にやさしく、価値が高まっていくのでは無いでしょうか?
一方、湯島天神界隈は元花街で有った名残で、所謂、ラブホテル街が有り、あまり治安がよくないのではと感じている方も少なく無いと思います。実は、私の通う会社が御茶ノ水駅の聖橋口に有ったため、湯島近辺の老舗の天婦羅屋などによく通っていたので、1990年頃から、実際にこの目でこの界隈の変遷を見てきました。
確かに1990年頃は、いかにもラブホテル街というイメージでしたが、最近、再び、近くに行く機会が有ったので久しぶりにプラプラ歩いてみると、これもバブル崩壊の影響でラブホテル自体も経営難に陥ったのか、現在は数軒位に減っていました。
もっと言えば、そのエリアに今や、ファミリー層向けのマンションが建築されたりしている位で、隔世の感があります。ラブホテル街と言うのはラブホテルの集積効果が集客を産む仕組みで成立しているエリアなので、その数が減っていけば、自ずと客があまり寄り付かなくなります。
従って湯島に残っているラブホテルも、既に独立の事業体として採算は取れていないと思われます。不動産会社の人間によると、現在、残っているあるラブホテルなどは、当然、経営的には赤字なのですが、他の黒字の事業と合算する事によって税金対策になるため、現在でも売却せずに持ち続けているそうです。
事ほど左様に湯島のラブホテル街は早晩、消失していくでしょう。そしてその跡地には、多分、ファミリー向けマンションが建つことでしょう。というのも、このエリアは山手線内エリアなので、高い分譲価格設定が可能となり、高収益物件になる可能性が高いからです。
また池之端に隣接している湯島駅から中央通りに続く「仲町通り」という通りが有るのですが、フィリピンや中国系のキャバクラなどの風俗店が軒を連ねており、夜はキャッチなどが出没する、あまり風紀が良く無いエリアがあります。通称、「ぼったくりストリート」というあまり名誉で無いあだ名が付けられている通りです。
私は、この通りの風店も早晩、消失していくと思っています。と言うのも、御徒町を含む上野エリアも都内に7つ有る副都心に指定されていて、上野広小路交差点エリアは、最近、松坂屋上野店が全面リニューアルされ、「上野フロンティアタワー」が11月4日に開業し、核店舗の「パルコヤ」、「松坂屋上野店」「TOHOシネマズ上野」もグランドオープンを迎えました。
この上野広小路交差点に一度、足を運んで立ってみるとよくわかりますが、この一体をパッと見ると銀座の一角のようにも見える位、綺麗な景観に変貌しています。また、シネコンが出来るという事は、このエリアに一般客が銀座や渋谷などの他の副都心と同様に集まる事を見越しているという事です。
デパートが有り、美術館、博物館があり、シネコンが有り、レストランが有り、動物園が有って、公園が有って、そして家族で来て楽しめるエリアが、この上野広小路交差点を中心として早晩、広がっていくものと思われます。
そうするとこの交差点のすぐ隣の通りで有る「仲町通り」も湯島のラブホテル街が徐々に消失していったのと同様にいずれ業態転換され、浄化されていき、ファミリーで立ち寄れるレストランなどの施設に置換されていくのではと思っています。
以上の通り、目黒エリアの資産価値は既に言わずもがなですのでここでは特に言及しませんでしたが、一方、池之端に関してはあまり皆さんが認識されていない可能性も有ると思ったため、池之端エリアの価値評価に関連すると思われる項目に関して説明させていただきましたが、さて、現時点での両者の資産価値の評価はどうなのでしょうか?以下が、あるマンション評価サイトの評価結果です。
【ブリリアタワーズ目黒サウスレジデンス】
https://www.mansion-review.jp/mansion/709502/souba_chintai.html
マンション偏差値:76
推定相場
売買:約667万円/坪
賃料:約22000円/坪
利回り:約4.18%
【ブリリアタワー上野池之端】
https://www.mansion-review.jp/mansion/754549/souba_chintai.html
マンション偏差値:75
推定相場
売買:約557万円/坪
賃料:約13000円/坪
利回り:約3.08%
出展:「マンションレビュー」
さて、皆さんは、この2つの評価を見てどういう感想をお持ちでしょうか?マンション評価サイトのシステムで算出したマンション偏差値は、どちらもほぼ最高偏差値で76と75と拮抗しています。
しかし、例えば売買価格では、目黒は池之端の1.2倍。賃料にいたっては、1.7倍の開きが有ります。本当にこれだけの開きが有るのでしょうか?有るとすれば、納得出来る明確な理由が有るはずです。果たして有るのでしょうか?無ければ、そこに裁定の余地が有るという事になります。
次回は、この評価に関して検討してみたいと思っています。長文にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。