「東京オリンピック後は、東京のマンションバブルは崩壊するのか?」

 

この問いかけは、既に数年前から繰り返し、色々な所で問題提起されてきた話では有りますが、これに対して明確な回答とその理由を説明している文献、人物に出会った事が有りません。

 

実際、私は、ここ数年にわたって、東京の複数の不動産会社の人間(営業)と話す機会のが有ったので、そのすべて営業マンにこの問いかけをしてみましたが、誰も明確な回答を出せる人がいませんでした。不動産販売のプロでさえそうなのですから、そう簡単に答えられる問題では無いのは、重々、理解しているつもりです。

しかし、これに対して明確な「読み」が無ければ、危なくてとても東京の不動産などを購入する事は出来ません。

 

東京の地価は、80年代末の土地バブルの時の地価を越えてたと言われて、既に数年は経過しています。詳しい統計は見ていないものの、私が知る限りでは、少なくとも、この14年間は東京のマンション価格は上昇し続けています。つまり、少なくとも2005年位からは間違い無く地価が継続して高騰しています。

 

自分で書いていて気付いたのですが、リーマンショックが2008年だったので、世界同時不況の時でさえ、東京のマンション需要に支えられたマンション価格は上昇し続けたということになります。今、考えるとすごいですね。

 

前置きが長くなると悪いので、先に結論を言っておくと、私は、2016年の頃から一貫して「現在の東京都心エリアのマンション価格高騰の原因は、バブルでは無く、実需で有り、従って2020年以降も価格急落は起こらない」と考えており、その考えは現在でも変わっていません。

 

なぜ、そう考えるのかを、これから順を追って、説明していきたいと思っています。この私の考えを上記の不動産会社の営業マン、多分、合計で7,8人には説明したと思いますが、全員、納得はしてくれても、明確に疑義を呈された人は一人もいませんでした。プロの営業マンが唸ってくれるので、そうそうずれた見解でも無いのではないかと思った事も有り、今回、いい機会なので、一度、自分の考えを書いてみようと思った次第です。

 

まず、「現在の東京のマンション高騰はバブルだ」と考える人達の根拠は、過去の1964年の東京オリンピック後の所謂、「オリンピック不況」が来た経験からのアナロジーでしょう。非常にわかりやすい比喩です。

 

非常に耳に馴染む論調ですが、少し考えるとすぐにわかる事なのですが、1964年当時は、敗戦の焼け野原からまだ20年も経っていない時期であり、まだ社会インフラなどが整っていなかった時期で有り、世界第二の経済大国になった後の現在と単純に比較するのは、やはり無理が有ると思っています。

 

旧東京オリンピックの時は、まだ新幹線も出来ていなくて、首都高も出来ておらず、神宮外苑の国立競技場、日本武道館も無かった状況から、突貫工事で新幹線を通して、都内の河川を埋め立てて首都高を作り、諸々の競技場を一気に作った訳ですから、これだけ公共投資をすれば、その後は「山高ければ、谷深し」の原則で、不況になるのは、至極、当然でしょう。

 

一方、現在も神宮スタジアムの改築などいくつかのインフラ工事が有るのは事実ですが、これだけで不況が来るかと言ったら、???と言わざるを得ません。そもそも、「高い山も特に来なかったので、深い谷もきっと無いだろうな」と考えるのは、十分に理性的な判断だと思います。

 

確かに2020年の東京オリンピックが決定した後は、建築資材の供給が追いつかず、建築資材価格が高騰し、建設用の職人の数が不足して、作業単価が上がり、それがマンション販売価格に転嫁されたのも、マンション高騰の一因だと、当時、ニュースで報道されていたのを覚えています。

 

しかし、株価的にも、既にこの東京オリンピック需要はすでに織り込み済みであり、2020年以降にオリンピック自体が終了したからと言って、特段、何がマイナスになる訳でも無く、公共投資的なインパクトが原因で、不況を招くという事はまず無いと言えると思っています。

 

次に、「現在の東京のマンション高騰はバブルでは無い」と考える人達の根拠は、東京の地価は相当、高くなってきたが、世界スタンダードで言えば、まだ相対的に割安だと言う認識に依拠しています。ニューヨーク、ロス、ロンドンなどと比べるとまだ安いと言う事です。

 

これも事実で有り、一定の説得力が有ります。

 

では、仮にそうだとしても、一体、なぜ、これまでは、東京の地価は世界基準で相対的に安くて、加えて、それがなぜ、ここ最近、急に地価が上昇するようになったのでしょうか?この辺の因果関係を上手く説明出来なければ、上記議論は、あくまでも「一般論」でしか無く、従って、あまり説得力が有りません。

 

この「なぜ、ここ最近、急に東京都心部だけの地価が上昇するようになったのか?」「その地価の上昇を加速させた要因は一体、何なのか?」と、この質問に答える事が、畢竟、「東京オリンピック後は、東京のマンションバブルは崩壊するのか?」の問いに答える事に他なりません。

 

前節の2つにブレイクダウンした質問を日本の大手有名不動産会社の一線でバリバリ働いている課長クラスの営業マンも明確な答えを持っていませんでした。

 

次回、これに関する私の考えを紹介していきたいと思っています。