途中急性胃腸炎で滞りながらも爆読は変わらず。今回はたくさんの方が最初にやられた‼︎と言う、「きみの友だち」読了。ここ何作も重松ワールドにやられていますが、この10年前に刊行された作品は、学校のいじめやら友だち関係の面倒臭い一連の流れをテーマにしつつ、根底には生と死を見つめる涙、後悔、失意、思い出、憶えていること。
そして、本当の友だちってなんだろう⁇という問いかけに最後まで登場人物を通して語っているこの話。これって大人になった今でもわからないままなこともあるけれど、ひとつだけ言えることは、友達っていい時だけでなく大変なときにそばに居る存在で、○○だから好きみたいな理屈ではないんだと思う。
そして毎度重松作品に揺さぶられているけれど、私自身の家族や先輩の死に向き合ってきたことと、すごく気持ちがリンクすることがあった。
恵美ちゃんと由香ちゃんの友情物語という位置付けだけでは済まない。最初から気になっていた物語の語り部が誰なのか?最後に解き明かされる仕掛けも泣けた。嘘っぱちな友達なんて要らない、という恵美ちゃんの心に深く共感する。
私には、もう二度と会えなくなった先輩が2人いる。二人とも仕事でお世話になった方で、まったく関係してないはずの先輩同士同い年53歳とかで、乳がんという同じ病で命を失った。立て続けに受けた訃報に打ちのめされながら、あんなに優秀で人一倍面倒見が良くて健康に気遣っている人が、こんなに早く死んでしまう意味がわからなくて、神様なんていやしないと毒づいて恨んだ。けれど、やっぱり亡くなったというのは現実で、聞きたかったことや、また話したかったことが、山のようにあったのに、もう会うことができないんだという事実にしばらく放心していた。
私が痛い失恋をした20代の後半、それをきっかけに山に登るようになって、あちこちハードな山へ挑んでいた頃、燕岳をご一緒し叱咤激励してくれた梅さん先輩。
マザールを立ち上げてしばらく右も左もわからずただただガムシャラに仕事をする私を応援してくださり、青山のオフィスの一角を間借りさせてくれたるりこさん。小さなスギオのこともいつも気にかけてくれた方でした。
きみの友達…を通して、わたしの友達、亡くした人のことを思い出して涙する、そんな一冊でした。読書感想になってないけれど、ひとりの時間浸りたい方はぜひ読んでみてください。