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この3冊、タイトルつなげると笑えるのですが、決して深い意味はないので悪しからず。先に読んだ2冊を返却し、入れ違いで借りた2冊がおもしろくて偶然にしても私の引き寄せ嗅覚ってすごいかも⁉️と自画自賛モード全開。( ^ω^ )どれも一昔前の小説ですが、だからこそのおもしろさもあります。

◼︎『愛するということ』小池真理子
小池さんの作家としてのエロさは群を抜いているのですが、この10年前の小説は実に失恋して傷んでる人に読んでほしい一冊。傷口に塩を塗り込むような表現が多々あるにもかかわらず、そんな荒療治が心地よく感じる結末なのです。主人公のマヤはバブル世代によくいたようなタイプの20代後半。フリーター生活を楽しみながら親の所有するマンションで暮らす独身女子。遊んでるツケがまわって生理不順となり、産婦人科医を訪ねるところから物語は始まる。そして約1年後、まったく予期せぬ形で、その産婦人科医と再会をし恋に堕ちるのだが…。幸せの絶頂を味わい、そこから徐々に下降する様はよくある話なのだけれど、この物語で意外なのは、その2人の関係性にこだわっているわけではなく、あくまでもマヤが人を愛するということを通して成長していく様子を描写は軽やかではあるが深くえぐっている点にある。ものすごく好きになった人との恋愛をどうやって終わらせたか?でかい傷口の一つや二つある人なら郷愁と共感をもって読み通せるはず。後半出てくる男性との絡みが、忘れられるきっかけになってそうそう、女はそうでなくちゃね~と思いつつ、その関係性を恋愛とは別の何か…という描写で設定した小池さんの筆力に女性としてひれ伏してしまう。しかし今の20代後半の女子はもうちょい違う恋愛をしてる気が致します。時代って大きいですね。


◼︎『義弟 おとうと』永井するみ
火曜サスペンス劇場…にありそうな小説で、鼻白む表現もありますが、ステップファミリーの抱える複雑さや、姉と弟でありながらお互いの傷を埋め合い、秘密を共有している特別な関係は、いつ男女の仲になってしまうのだろう⁇とドキドキしてしまいます。純愛であるばかりに、異常性を帯びて相手を思いやり庇い合う二人。そこに新たな火種が現れ、犯罪に手を染めることに…。登場人物の設定がお利口さん過ぎて、ちょっとつまんない気もしましたが、それは先述の小池真理子さんの小説を読んだ後だったせいでしょうか。完璧な愛などないと同様、完全犯罪などないのです。


◼︎『ボロボロになった人へ』リリー・フランキー
6篇の短篇集で構成された本。ずいぶん昔の作品のようですが、リリーさん独特のセンスが好きな人にはたまらないはず。どれもイッちゃってる物語。性の描き方が卑猥にならず、競馬の実況中継のような淡々とした感じに思えるのは、ボロボロになった人へ…だからなのか⁉️映像としてイメージしやすいので、古い作品でも単発ドラマ化できそう。なんて、TVを全然観ない私が言っても信ぴょう性ありませんが…。ψ(`∇´)ψ

さぁ、次はようやく重松清さんの「とんび」です。