12月28日(土)
久しぶりに桜木町ブルグ13へ「永遠の0」を観に行ってきた。
私、原作は読んでおりません。
この作品は、特攻隊については描ききれていないし、おそらくものすごくカットされたシーンも
あったのではないでしょうか。戦時中の恋愛物語としては、美しいストーリーに仕上がっている
ファンタジーそのものなのですが、途中から岡田君のプロモーションビデオをみているかのような
錯覚にも陥りました。描ききれてない分、イケメンの岡田君ひとり勝ちというか。
俳優たち大半の演技もへたくそだし、歯が浮くようなセリフをそのまま
言ってる感が拭えないシーンも見受けられました。・・・が、そんな個人的恥ずかしい感じよりも、
やはりあの戦争によって引き裂かれた家族、愛というものが、一人ひとりにあった・・・・
そういう現実を、今ゆるみきった時代に、改めて見つめ直せる物語だと思います。
特攻隊についての映画は非常に地味過ぎてあまり話題になりませんでしたが、
2007年夏(今から6年も前)に出た「TOKKO」が秀逸なドキュメンタリー映画です。
DVDになっているので、興味ある方はぜひ借りてみてください。
プロデューサーのリンダ・ホーグランドさんは、今夏「ひろしま ~石内都・遺されたものたち」の監督や
前作「ANPO」の監督もされた天才的なクリエーターです。NYでは有名な翻訳家・通訳でもあり
当時のリンダさんインタビュー記事はマザールKAKERUインタビューにあります。
TOKKO http://www.motheru.jp/kakeru23.html
ANPO http://www.motheru.jp/kakeru/85.html
TOKKOの監督は、リサ・モリモトさん。こちらの記事もございます。
http://www.motheru.jp/kakeru24.html
特攻隊にいた人も今や90歳前後となって、限りある時間のなかで
生きているうちに語っておかねば…と考えられる方もおられると思います。
一方で、語りたくない墓場まで持っていきたいことだってあるはず。
「永遠の0」で岡田くんの演じた、宮部教官が魂抜けたようになっていく姿は
壮絶な拷問しかり、男しかいない生活の中で上官からの相当な性的な嫌がらせもあったことでしょう。
そういうモロモロはすっ飛ばしていますが、特攻隊は志願して国に命をささげた…という美談では済めず、
志願をさせられるように仕向けられた、というのが本当なのではないでしょうか。
みんな愛する人のもとへ帰りたかったのに、片道分の燃料しか積めず
弾にさせられ海に散っていった無念。にもかかわらず、日本がこのようなネジの緩んだ国に
なっていることに、特攻隊を知っているあの方々はどのように感じられているのでしょうか。
人気タレントを起用して、代理店もテレビ局も映画会社もこぞってスポンサードしなければ
届かないテーマなのはとても複雑です。来場者は、とっても若いカップルが多かったですから
そういう意味では「大成功」なのでしょう。
最後にサザンの「蛍」が流され、それで涙流さない人はいないはずです。
いいかわるいかはともかく、恋愛ドラマとしては胸にくる作品です。