夫です。

前回、長くなったので
途中で区切りました。

ここから残りを書きます。


※前回のコメントについて

「別ブログで記事を

 書いた方が伝わりやすい」


とのアドバイスをいただきましたが
現状、私の出番は少ないので‥‥

ひとまず今のスタイルでやっていこうと

思っております。

ただ、妻のブログと混在し読みにくいと
思いますので、テーマで区別しました。

 

私の記事のテーマは

「父ブログ」となります。

私達の事を考えご助言いただき、

ありがとうございます。


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出産から数日。

妻は相変わらずの状態だった。


術後の為、まだ歩けず

身体の痛みと息子への思いで
毎晩苦しんでいる。


妻は昔から、人前で絶対に
泣かない人間だったという。

色々と辛い過去を持つ妻。

幼い頃、悲しくなるといつも
誰もいない所で涙したらしい。


逆に私は、幼い頃
臆病で泣き虫だった。

人前でめそめそしてばかりの
どうしようもなく、みっともない子。


そんな自分が、今は
泣いている妻を励ましている。

でも、そばにいる事しか出来ず
何もしてやれないのが辛かった。


何か力になれないか‥‥。


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数日後。


まだ歩けないものの、
妻の体調は回復しつつあった。

「病院の敷地内なら外出しても良い」

と医師から許可が出た為、
私は妻に外へ出る事を提案した。


「中におると、気分が沈むよ。

 こんなにいい天気なんやから。
 外の空気吸って、気分転換しよう!」


妻の車椅子を押しながら
私は病院の庭へ向かった。


妻にとって久々の外。

静かな庭の中を、2人で
会話しながら歩く。

どうでもいいような話をしていたが、
やはり最終的に息子の話になった。


息子の病気。

通常、産まれて数日で死に至る病気。

だが今は医学が進み、生存率は上がっている。


命は助かる‥‥。

命「は」‥‥。


その後はどうなる?


この病気は完治しない。


皮膚が薄い為、感染症にかかりやすく
最悪、死に至る場合もあるらしい。

見た目の損傷も激しく、
障害のある部分が多い。

日常生活は苦労が多く

また、その見た目から
迫害を受ける事は間違い無い。


どんな辛い事があっても
「生きてこそ」という言葉があるが


この子はそれを望むだろうか??


病院の先生方は今も精一杯
処置をしてくださっている。

とても感謝している。

だが退院の先、何も見えない。


あの子にとって幸せは‥‥

生きる事か、それとも‥‥




妻は泣いていた。

私も泣いていた。


こんな明るい空の下で
庭で2人して、うずくまって
声を殺して泣いていた。


妻を元気付けるはずなのに。


‥‥。


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あれから数日、

自分の中で色々な思いを整理し、
私は冷静になっていった。


もう何があっても驚く事は無い。
泣く事も、しない。

息子は病院に任せ、私は妻を励ます。


だが、息子を思う「母親」の
気持ちは計り知れない。


父として、夫として何が出来るか‥‥。



ある日の夜、1人でいる時

いつの間にか私は
実家に電話していた。


電話に出たのは母。


会話は、息子の様態について。

もう何度か電話で説明していたので
話す事はほとんど無いが‥‥。


「大丈夫か?
 辛かったらいつでも言いな‥‥」


母の言葉に、私は力強く答えた。


「いや、僕はもう大丈夫。

 何があっても絶対沈まん。

 心配いらんよ。」



「そうか‥‥あんたは強いね‥‥」


母は泣いていた。


「あんた達が心配で‥‥

 ごめんな‥‥私たちは
 何の支えにもなれなくて‥‥」


震えた声が聞こえる。


何の支えにも‥‥。そんな事ない。


「充分、支えになるよ。

 だって何も無いのに
 電話をかけて‥‥

 それだけで‥‥救われる。

 ただ、話をするだけで‥‥」


言っている内に、
涙が止まらなくなってきた。

なぜ最初、電話をしていたのか
自分でも分からなかった。


頼りたい。

甘えたい。


そういう思いがあったのか。


もう父親なのに‥‥。


冷静になったはずなのに。
心が折れそうだった。

昔のまま、私は泣き虫だった。



だが、私は母に救われた。

話をするだけで、そばにいるだけで
人の心は救われる。


私は妻のそばにいる事しかできない。

それだけで充分なのかもしれない。



父親が泣いてちゃ駄目だ。

2人が潰れたら、どうしようもない。


自分だけは前を向く。

妻も、いずれは前を向いてほしい。
でも今は、焦らずゆっくりでいい。

妻が前を向けるまで
自分は後ろを振り返らない。


そう、強く決心した。


そこから、私は悲しみで
泣く事は無くなった。


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コメント等で、私について
「強い父だ」と言ってくださる
方がいらっしゃいましたが、
実は色んなところで泣いていました。
本当は打たれ弱い人間なんです。

ただ、今は私も妻も強く生きております。
これも息子のおかげです。


次回からは、また妻のブログに戻ります。

とても長くなりましたが、読んでいただいて
ありがとうございました。