田舎の海沿い、自然豊かな所

豊かではない農家の長女として生まれた。

臍の緒がからみ、仮死状態から、持ち直したらしい。

感が強く、抱っこしていれば寝るが置くとすぐ泣き、

いつも泣いていた。


両親は見合い。

恋愛でもなく、お互い共感したでもない、男女の結婚。

昔はよくあったものであろう。


父親はキレやすく、自己愛に満ちていた。

成績は良かったようで、子供時代は神童扱いされていたとかいないとか。

とにかく、

よく泣く、長女がうるさかった。

結婚してすぐ子ができ、気持ちに準備もできていなかった。


夜なんてずっと泣くから、布団に投げたが 泣き止まず、怒鳴ることもあった。

母はなんで泣くの?と泣きながら、過ごしていた事だろう。


妊娠中も、同居の姑に嫌味を言われ、気分悪く横になっていると、気狂いだから、よく倒れるんだと近所の人に言っているのを聞き、苦しんだ。


いろんなことを呪ったが、何もかわらない。

別に優しくもない、すぐ怒るだけの夫の帰宅を待ち望みながら、

我が子を抱いて、毎日夫の帰ってくる道を眺めて待っていた。


逃げる事は叶わない。

バスもない。

町までは徒歩1時間以上かかる。

お金もない。

実家はもっと貧しい。


耐えるしか無かった。

ほぼ年子で4人も産むと、逃げる、離婚するなど、子供を育てあげる事を考えれば、出来るはずもなく、

夫の切れやすさから、子等を守り、強く生きるしか無かった。

昔はそれしか、方法は無かった。

貧しければ貧しいだけ、道は狭まる。

誰が悪いと言うことはない事もある。


人間の人生、

人間性の作りそのものに関わる事であっても。