私の心の中には、秘密の扉がある。
そこに存在することは分かっているのだが、まだ開けたことがない。
いや、子供の頃はその扉を自然に開けて、その扉の「向こう側の世界」に行ったり来たりしていた気がするのだが、大人になるにつれて、その扉が開かなくなってしまったのだ。大人になるにしたがって、知らず知らずのうちにその心の扉(あるいは本心の扉、または夢の扉と呼んでもいい)、それにカギをかけてしまったようなのだ。



私は大人らしい生き方というやつを追及するあまり、疲れ果ててついに倒れてしまった。今頃になって、ようやく自分が進むべき道、進むべき人生は、子供の頃に自由に行き来していた、あのトビラの向こうにあることに気がついた。しかし、今はそのトビラが容易に見つからない。例え見つけても、日々の雑多なことに心を奪われて、簡単に見失ってしまう。運がよくそのトビラを見つけても、その扉にはカギがかかって開かなくなっている。そして、注意しないとその扉はまたどこへともなく消えてしまう。大人になった私の心はモヤモヤだらけで、ややもすると、そもそもそんな扉が存在していたのかすら怪しくなってしまう・・・



しかし私はあきらめない。
あきらめずにその心の扉を探し続け、カギを探し続け、そのドアをノックし続ける。その扉の先に、子供の頃の私の心が待っている気がするからだ。ただ静かに、どんなに時が経っても変わらない姿で、ただただ私の帰りを待っている気がするのだ。「扉の向こうの世界」に至る道は、ひょっとしたら想像以上の茨の道かもしれない。万が一そこにたどり着いたとしても、その場所は思い描いたほどのバラ色の世界ではないかも知れない。それでも私はその扉を探し続け、ノックし続ける。そこに本当の私が、そして私という存在の本質が、私を待っている気がするからだ。



もしも、あなたもあなた自身の心の扉を探し続けノックし続けている人なら、あるいはすでに扉の向こうの世界に生きている人なら、私はあなたを生涯の友人として、私の心の扉の先にある世界にご招待したいと思う。