4/8読了
「まだ?」と声が聞こえるたび、佐々木るみはそっと目を開いて、絶望に囚われる――。
最強の拝み屋・物部斉清が死んだ。心霊案件を取り扱う事務所の所長である彼女は、不妊に悩む依頼人が連れてきたおぞましい怪異を止めきれず、物部を巻き込んでしまったのだ。
頼る者がいない中、るみは自らの中に巣食う獰猛で最凶の敵に立ち向かうことになる。次々と開く扉の中で待ち受けるのは、はてなき悪夢と深淵。シリーズ最大の衝撃作!
佐々木事務所シリーズ、5作目。
1. 『異端の祝祭』
2. 『漆黒の慕情』
3. 『聖者の落角』
4. 『極楽に至る忌門』
過去の親からの壮絶な虐待や、容姿のせいでいじめられてきたことから、どうしても自分が価値あるものとは思えず、43年間ずっと苦しんできたるみさん。
幼稚だと分かっていながらも、自分と比べて他人がどうか、という尺度で見てしまい、周囲を妬んでますます卑屈になって、孤独になって、その根本である親を恨んで恨んで恨んで…という、負のループから抜け出せない。
本作では、根本をどうにかしようとたくさんもがいたけれど、どうにもならず、無限回廊からも抜け出せず、途方に暮れる。
るみさん;;
"自分が価値あるものと思えない" って、ほんの10年ほど前まで自分もずっと思ってきたことだったから、気持ちが分かる部分があってものすごく痛かった;;
そんなるみさんに、ある登場人物がこう言った。
「自己嫌悪が強すぎる人って、『私は愛されて当然なのにどうして愛されていないんだろう』みたいな妙な万能感を感じることすらあるよ。無条件に価値がある人間なんているわけないじゃん。」
「自分は今精一杯頑張ってここにいるんだ、って自分で宣言することだよ。それは別に、自分のことが愛せなくても、間違った選択をしたからここにいるんだと思っていたとしても、出来るはず。」
「確かに客観的に見て、過去のことでいつまでも苦しめられていたりするのは健全な状態ではない。でも、一度ひどく傷付けられたものが、そんなにすぐに回復して健全になることなんてあるのかな。ゆっくりゆっくり徐々に治っていくもんでしょ。」
「元の状態を百として、数年に一でも二でも回復してたらそれでいい。それが、自分の現在の最高到達点であり、それでいい。」
めちゃめちゃ良い事言うなぁ~!全てに同感。
これまで散々苦しみ続けてきたるみさんが、5巻のラストでやっと「私はもう大丈夫」「私には生きる価値がある」と思えたのがとても嬉しかった(つ﹏<)・゚。
でもさ、あれ、私よく分かってないんだけど、前作の『極楽に至る忌門』で、物部さんって○んでなかったっけ(?_?)
めちゃめちゃショックを受けた覚えがあるんだけど、記憶違い?w
あと、タライの漢字を始めて知って「うわ、めっちゃタライ
」って感動した。

→盥
るみさんがやっと呪縛から解放されて、引き出しがそうなった今、続編はあるのかな~?
読みたいけど、これで完結の方が嬉しい気がする。
芦花公園さんの次作がどんなものか楽しみ
