7/26読了

 

1000年後の日本。

豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。

「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。

 

学生時代、角川ホラー文庫にはまり、その中で貴志祐介さんの作品も何冊か読んで、好きな小説家のうちのひとりになった。

 

小説から離れている時期の約10年程前だったか、本作の漫画を発見した。

 

肉体が強調されたいかにもな萌え絵にはかなり抵抗があったんだけど、原作が貴志さんならば絶対に面白いと思って読んでみた。

 

実際読んでみると思った通りで、構想の壮大さに驚き、ストーリーも展開も面白くて、「うわ、さすが貴志さん…!いつか原作を読みたい!!」と強く思った。

 

事務所移転につき通勤時間が長くなったことをきっかけに読書(小説)を再開して、半年ほど前に本作を購入したもののなかなか手を付けられずにいたんだけど、最近映画欲が湧かなくて観ることが出来ないから、これを機に読み始めた。

 

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序盤は、まるで先生が教科書を読むだけの超退屈な授業のような内容で、苦痛で苦痛でしかたなく、挫折しそうになった。

 

漫画を読んでいたおかげである程度知識があったから、なんとか文に目を通しつつイメージを湧かせ、話が盛り上がってくる時を待ちわびながら、頑張って読み進めた。

 

そして、150ページあたりでキャンプ中にミノシロモドキと出会ってから急激に面白くなって、それまでとは一転、グッと入り込んだ。

 

もし超能力を持って生まれた人の人口の割合が上がっていったら、それが人々の生活や社会に影響を及ぼす程になってしまったら、一体どうなっていくんだろう?

 

そしてその遥か先、100年、200年…1,000年後、生命が住める状態の地球がまだあったとして、どんな歴史を辿り、どんな社会になっているのだろう?

 

もしかしたら「新世界より」のようになってしまうかも。


なんて想像が膨らんでいって、漫画同様、とても興味深く読んだ。

 

漫画も面白かったけど、文章だと感情や出来事が細部まで描かれているし、なにより作者本人が書いた文章だから、より面白く感じた。

 

中巻・下巻はもしかしたらあっという間に読めちゃうかもしれない。