6/16読了
○○○○と×××という二人の男の人生を生きた記憶を持つ予備校講師の△△△△は、生徒から持ち込まれた相談をきっかけに貞子の呪いの真実を知り、自らの役割を自覚する。
……『リング』から続く怨念の正体とは!?
今後読む方がいらっしゃるかもしれないと思うと、これだけは知られてはならないと思って、上記あらすじの3人の名前を伏字にした。
「タイド」がすごすぎてびっくりした。最近かなり気持ちが沈んでいるのに、ちょっと上がったもんw
「リング」は序章としてただただ面白く読んだけど「らせん」→「ループ」→「エス」→「タイド」と進むにつれ、遺伝子工学とか生物学とか化学とか進化論とか哲学とか真理とか神話とかにまで発展し、どんどん難しくなっていった。
しかし、どの作品でもその難しさがなんてことないくらい、あっと驚く展開がたくさんあり、伏線とも気付いていなかったあらゆる真相が徐々に明らかになっていった。
そして全てが「リング」の世界と「ループ」の世界に繋がっていく。これがすごすぎる。
映画「らせん」で、ものすごくハテナでいっぱいになってしまって、特にラストの海辺のシーンは全然納得がいかなかった。
↓過去感想
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が、「タイド」を読んでかなりスッキリした。そういうことだったのか!∑(⊙∀⊙)
この時「原作に忠実」とコメントを下さった方がいらして、小説「らせん」では海のシーンが違ったからどういうことだろう?って思ってたんだけど、ここにきて納得した。
そういうことならば、映画でそのような描写にしたのも理解出来る。
ここまで来ると、貞子の身体の秘密とか、ウイルスとか、そういう次元の話じゃない。
神話とか宇宙とか摂理とか因縁とか、そういう話。
・・・・・・・・・・・・
本作「タイド」とは、どのようなストーリーだったのか?について。
呪いのビデオの中にあったこの言葉↓
「その後、体はなあしい?しょーもんばかりしてると、ぼうこんがくるぞ。いいか、たびもんには気ぃつけろ。うぬは、だーせん、よごらをあげる。あまっこじゃ、おーばーの言うこと聞いとけぇ。じのもんでがまあないがよ」
意味↓
「その後、体の具合はどうだ?水遊びばかりしていると、お化けがくるぞ。いいか、よそ者には気をつけろ。おまえは、来年子供を生むのだ。娘っこだから、おばあちゃんの言うことはよく聞いておけ。地元の者で構わないじゃないか」
端的に言うと、この言葉に出てきた「水」と「よごら」と「じのもんでがまあないがよ」にあたる部分が解明されるストーリー。
特に「よごら」の部分は、もうほんっと驚きでしかなかった。
本作の中盤あたりから「も…もしや…!?」って思いながら読んでいたけど、そこからあのような展開で明かされようとは驚いた。
貞子ちゃんも出てきます。しかも、怨霊としてではなく、人として、家族として会話します。
貞子ちゃんの母、志津子さんについても驚きの真実が明かされます。
貞子ちゃんが何よりも怨んでいることや、何がどうなったら怨みが晴れるかということが明かされます。
すごすぎるわ本当。しかもそれだけじゃない。
「タイド」は前作「エス」の前日譚にあたるんだけど、「エス」に出てきた茜の出生や、柏田の人生についても明かされる。
ちょっと…!茜!!お父さんについては明かされていたけど、お母さんがその人だなんて…!!
柏田については、コロコロと状況が変わって、えええ!?の連続だった。
本文から一部抜粋↓
色即是空。空即是色。
般若心経の極意を、知らず知らずのうち、実践していたことになる。
「色」とは、「この世に存在するもの」のことである。
「この世に存在するもの」は「ないも同然」であり、また、くるりと立場を入れ替えて「空即是色」となれば、「この世に存在しないもの」から「存在するもの」の生起が可能となる。
それはまさに柏田さんのこと。しかし、こうして改めて書き出してみると、すごい文章だよなあ。
とにかく、鈴木光司さんの想像力と文章力と情報収集力と知識力がすごすぎる。
書評家の池上冬樹さんによる解説の冒頭、
「一読して唖然呆然である。いやあ、そう来るのかという驚きとともに、おいおいどこまで突っ走るの?と呆気にとられてしまう。」
に、激しく共感。
エピローグでの、春奈の娘・凪ちゃんがとっても意味深で、次は凪ちゃんが絡んでくる予感しかないw
次作もまた色々と驚かされるんだろうなぁ。とっても楽しみ!