6/2鑑賞
ず~っと気になっていた本作。やっと観られた。
ストーリーは上記あらすじの通り。
南インドのスラム街で生活している人々の様子を通して、格差社会の問題や権力者層の腐敗などが垣間見えた。
仲の良い兄弟がワチャワチャとしている様は、まるで甥っこ兄弟を見ているようで、とっても可愛く健気で愛おしかった。
ピザは1枚300ルピー。
(今日のレートで約600円)
それは彼らにとって大金で、身近なことから大それたことまで行動して、努力して少しずつ貯めていかなければいけない。
時には「子供だから許される…?」じゃ済まない、犯罪まがいのことも。
コメディタッチで描かれているから、ぱっと見では悲壮感や憎たらしさは感じないけれど、そういうことまでしなければならない環境にいることを思うと、やっぱり胸が痛んだ。
そうまでしてコツコツ貯めて目標金額に達し、お金を握りしめ、意気揚々とピザ屋に向かう兄弟。
しかし自分達の ”いかにもスラム街の子供の身なり” のせいで、ピザ屋に足を踏み入れる前に、ガードマンに追い返されてしまう。
それでもめげず、今度は洋服を買うべく、またもや色んなことをしてお金を稼いでいく。
洋服代の目標金額は200ルピー。
(今日のレートで約400円)
お金持ちの子供から「君たちのために残しておいたよ」と、食べかけのピザを差し出され、弟が手を伸ばしかけるも、兄はその手を制し、自分たちが稼いだお金で食べるんだ!と奮闘する。
そうしてなんとかお金を貯め、綺麗な服を手に入れ、今度こそ!!と意気込んで、ピザ屋に向かう。
しかし、今度は門前払いどころではない、惨い仕打ちを受けてしまう。
差別意識の壁はあまりに大きく、子供にも容赦がない…。インドにいまだに根付いているカースト制度の概念もあるのかなと感じた。
兄弟のこれまでの努力や夢や希望が打ち砕かれただけでなく、お金だけの問題ではない、生まれ育った場所による自分達ではどうしようもないことで尊厳および存在自体を否定された姿はあまりに惨かった。
映画の中では、そのことが世間に知られて大きな問題に発展し、最終的には、ピザ屋を営む富裕層による火消しのためのパフォーマンスで、一応は丸くおさまる。
実際には根本的な問題は一切解決していないという制作側の意図を強く感じるものだった。
だけど、兄弟が家族で過ごしている姿、友達との遊び、憧れに向かってお金を稼ぐ行動、そして最後の2人の言葉。
そのどれもに笑顔や楽しさが溢れていた。
あまりの貧困さゆえにちょこちょこと辛い描写が挟まれつつも、そういうものだと受け入れたり、何事も創意工夫して楽しんでいる様に、幸せの価値を考えさせられた。
タイトル的に、おいしそうなピザの描写があるのかなぁって思ってたらそんなことはなく、ピザ欲を刺激されるなんてことも無かったw
2人がピザよりもおいしいと思うドーサを、私も食べたくなった