1/8鑑賞
津田寛治さんが好きなので本作を鑑賞した。
色んな観点から好きな俳優さんがたくさんいる中で、津田寛治さん、渋川清彦さん、山中崇さん、三浦誠己さん、リリーフランキーさん等の好きは同じ括り。
(全てyahoo画像検索よりお借りしました)
あーほんと皆さんめっちゃかっこいい
共通点としては、俗に言うヤクザ顔なのかなって思うけど、自分の中ではヤクザ顔ならどんな人でもいいって訳ではなく、何か明確な違いがあるようで(それが何かは不明)、この方達はドンピシャでタイプ。
見た目だけじゃなくて、小者系も出来るけどどちらかと言うと寡黙系で、一匹狼が似合って、怖いけど笑顔が素敵で、色んな役をこなせる素晴らしいバイプレイヤーさん達!
…そんな私の好みの話は置いておいてw
本作のざっくりとしたあらすじはこんな感じ。
記憶喪失の男、宮松(演:香川照之さん)はエキストラ役者だが、それだけでは食べていくことが難しく、ロープウェイ管理の仕事を掛け持ちしている。
ひたすら脇役をハシゴして殺され続けたり、山の麓に通ってはゴンドラを拭いたり動かしたりの日々。
仕事の対象はとても大きい(と言うの?相応しい表現が思い浮かばない)けれど、宮松自身はあまり感情の起伏がなく、人との関わりも薄く、毎日を淡々と静かに生きている。
そんな中、宮松がエキストラで出ていた作品を見たからと言って、元同僚で谷と名乗る人物(演:尾美としのりさん)が、宮松のもとを訪ねて来る。
谷曰く ”宮松の本名は山下で、以前タクシー会社の同僚として共にタクシードライバーをしていて、ある日山下が突然いなくなったから心配していた。山下には最近結婚した妹がいる" とのこと。
谷は、何も思い出せず戸惑う宮松に「俺が妹さんと会わせてあげる」と言い出し、妹(演:中越典子さん)と、その夫(演:津田寛治さん)と再会し、しばらく3人で暮らすことになるのだが…。
テーマ性とか思ったこととかを具体的に書ける感じではない、とても不思議な映画だった。
コメディ映画「鍵泥棒のメソッド」(←大好き!)でも香川さんは同じく記憶を失って、訳も分からず言われるがまま生きていたけど、本作では全然違うストーリー&役どころ&演技で、とっても見応えがあった!
1人の同じ人間なのに、あらゆる記憶を失って自分が何者でどういう人間であるかが分からない宮松と、記憶が無くなる直前まで確固たる自分の人生を過ごしてきた山下。
自分が分からない状態で、他人(しかも大体が殺される役)を演じ続けるってどういう感じなんだろう。その方が楽なのか、ますます自分が分からなくなっちゃうのか。
ロープウェイ管理の仕事をしている時の3つのシーンがエキストラの仕事と繋がっていて、宮松の心の内が表現されているようで、とても印象的だった。
①同僚からなぜこの仕事をしているのかと聞かれた時「ゴンドラが宙に浮いている感じが好き」と答えるところ。
②業務日誌の自分の欄に、丸定規を使ってきっちり○を埋める。同僚に「丸定規を使うのは宮松さんだけですよ~」と言われると、「空間を埋める作業が好き」と答えるところ。
③自分がゴンドラ掃除当番の時に、稼働時は人々が乗る、空っぽのゴンドラに乗っかって丁寧にピカピカに拭き上げるところ。
色んな役やシーンを次々と演じ続ける宮松は、現実と役が混じっているような瞬間があって、私(観てる側)までも宮松自身に曖昧に溶け合うような不思議な感覚に陥った。
演技の上手い人がエキストラとしてあまりセリフもなく淡々と色んな役を演じ続ける姿はとても興味深いものがあった。実際もあんな感じなのかなぁ~。
特にビアガーデンのシーンは演技前と演技中のギャップが激しくて一番面白かった!
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妹夫婦としばらく暮らしているうちに少しずつ表情が柔らかくなっていく様。
あることがきっかけ(妹が促した?)で急に記憶が蘇った時の衝撃の表情と、そこから自分を取り戻して〇〇として生きる選択をした時の表情。
記憶を失っている時は何かと眉間に皺が寄っていて心もとなさげだったけど、蘇った後は明らかにそれが無くなって宮松と山下が融合した人間になっていた。
香川さんってすごいなと改めて思った。
また、過去になにがあったのか核心には触れていないものの、心因性の記憶障害が起きてしまう程の、忘れたい&そのことをなかったことにしたい重大な出来事があったのだと察せられた。
その出来事に少なからず関わっていた妹の夫を演じていた津田寛治さんも、ニコニコと人当たりが良さそうな側面を持ちつつ、ふとした時に見せる表情が意味深で不気味で怖かった。
ホテル玄関でお客さんをお見送りした後のあの顔よ
(でも超かっこいいw)
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香川さんはいつの頃からか奇抜な役ばかりされている印象だったけど、私は本作のような「静と動」をナチュラル且つ丁寧に演じている方が好きだなぁ。
「ゴンドラが宙に浮いている感じが好き」
↑本作の中で一番印象に残った素敵なセリフを改めて記して感想を終える。