12/11鑑賞。
第二次世界大戦前後という激動の時代に、英国貴族ダーリントン卿のもとで、ダーリントン卿が亡くなったあとは、屋敷を買い取ったアメリカ人富豪ルイスのもとで、生真面目に忠実に仕え続ける老執事のお話。
規律と品格を重んじ、主人を信じて尽くし、屋敷全般を取り仕切ることこそが最善であり自分の人生だと、誇りを持って生きてきたスティーブンス。
だけど、女中頭としてやってきたケントンと出会ってから、行動としては傍から見ると全く変わりはないのだけど、動揺・情愛・嫉妬・悲しみ・哀愁・戸惑い・後悔の念が、わずかながらの目の変化で表現されていて、ものすごくグッと来た。
・暮れなずむ薄暗い部屋で、スティーブンスが読んでいた本が何か気になって、本を持つスティーブンスの指を、ケントンが1本ずつ外していくシーンの、ケントンを見つめる熱い視線。
・ケントンが求婚を迷ってると打ち明けた時と、求婚に応じたと報告した時の表情。
・その晩飲もうとしたワインを落として「Damn it!」と激情にかられた姿と、その後泣いているケントンのもとへ行き、業務連絡という形でしか話しかけることが出来なかった切なさ。
・時が経ち、20年振りに再会を果たした時のソワソワした態度や、再び一緒に働けなくなったと聞いた時のあの目。
・最後に別れる時、ケントンさんの幸せをずっと祈っていると言った顔と、握手した手が離れた時の余韻。
他にも良いシーンがたくさんがあったけど、特に本のところが一番良かったあの熱い視線!!ズキューン!!(ウッ!)ってなったw
アンソニー・ホプキンスの魅力に初めて気付いた。演技も素晴らしいんだけど、声とか佇まいもかなり素敵。この映画が公開された時は56歳前後と思われるが、めちゃめちゃかっこいい。
切なく、もの悲しく、冷たく、気高く、静かで、だけど熱いものを秘めたあの目に心を射抜かれてしまった。
若かりし頃のヒュー・グランドとかも出ててかっこいいんだけど、顔じゃないんだよね。顔じゃ。その人そのものが素敵だと顔にまで惚れるってもんなんだよ。
私が惹かれている佐野さんの魅力に近いものを感じ、ちょっと戸惑っているあたしゃもうだめだ
とりあえず、だいぶ前に観たレクター博士の一連の映画を観直してみよう。グロいのは嫌だけど、惹かれる予感がしてならない。
日の名残りは、日系イギリス人のカズオ・イシグロさんが書かれた小説が原作とのこと。
政治、社会、戦争、人種、父子、男女など様々な要素のある内容で、色々と勉強になり、また、考えさせられた。とても素晴らしい作品だった。
と、最後にとってつけたかのようにまとめてみたwえへっ!