めがね明朝体 ~富山ですてきなデザインを探します。

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富山県でデザイナーをやっている坂本理恵のブログです。出会ったすてきなデザインやモノについて書いていくぞ。富山成分多めです。


テーマ:



正木香子さんのことは、本も読んでいたし知っているつもりだったけど、今から思うと、どうして会ったことのない人を知っているなんて言えるんだろう?

直接お話を聞いて、すっかりファンになってしまった。


なんて信頼に足る人なんだろうと思う。




彼女は「文字食さん」と呼ばれていて、

「自分が文字をどういうふうに味わってきたか」を書いている、文筆家の方だ。

「文字の食卓」というサイトがもともとだったんだけど、今は書籍にもなっている。



彼女が講師をつとめるセミナーがあるというので、私は新幹線で隣県松本に向かった。


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見て、こんなふうにひらがなで名前を組んでもらったのは初めて




お話の内容は、


幼い頃からどんな風に文字が見えていたか。

ビスケットの味がする文字のこと。


そして、幼いころから自分が親しんできた書体が、なぜか目の前から消えていったこと。


じっさいはパソコンで印刷物をつくるDTPの隆盛で、「写植」で使われる書体が消えていったことによるんだけど、でもそんなことを知る由もなかった、その孤独。




話を聞くうちに、私の記憶はとんでとんで、初めて見出ゴシックの名前を知った日のことを思い出した。


大学の先生が出力したお手製の書体見本。おそらくさっと作った、授業用の資料。その中にまぎれなく見つけた文字の姿は、初恋の人との再会のようだった。

それからわたしはほとんど迷いなくビジュアルデザインに転向を決めた。今いちおうデザイナーをやっているので、見出しゴシックに導かれて歩いてきたと言ってもいい。



そんな自分の来歴に重ね合わせながら話を聞いていたんだけど、

でも彼女は私のそれよりもずっとずっと繊細な、たぐいまれな感受性で、とくに本文用の明朝体を、愛しく味わっていた。




とにかくこの世に正木さんがいてくれてよかったと思う。


フォントブームとか言われて、でもへんな流行りかたをしているようで、違和感がある。

絶対フォント感っていう言葉がもてはやされたりして、フォントを見たら名前がわかるのがエライみたいな風潮がある。


書体を見分けることが、知識によるマウンティングと結びつくのがいやだ。

新しい書体が出るたびにそれが「消費」されていく感覚がいやだ。

その風潮に左右されている自分がいやだ。




正木さんのお話は、その書体と相対して、その書体を通して、綴られた言葉を味わうことが、何より幸せだってことを思い出させてくれる。


それは文字を読んでいるだけなのに身体性を帯びている、とても個人的な体験だ。

ごくごく個人的なのに、普遍的でもある。たくさんの人が同時代に印刷されたものを読んで、同じ経験をしていたりもする。そんな、とても不思議なものだ。




正木さんが1人、いてくれることで、その世の中の流れが正常に戻っていくような、とっても大事な仕事をしてくれてるように思うんです。


 と彼女の目を見て言えたので、それで満足です。

(いや、そのあと図々しくもサインもらったり、一緒に写真を撮ったりしたけれども。)


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サインをもらった本。







それで本屋さんに行った。


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高橋ラジオ商会だと思った?
栞日 という本屋さんです



今までは「彼女のフィルタを通して文字を見る」ことに抵抗があったけれど、彼女の感性に頼りすぎることなく、ちゃんと切り分けて、自分の感性を使って書体が見られる。


私が見てきたものと重なる部分もあるけど、全然知らない部分もきっとあるし、そこに対して、悔しいとか余計な感情を入れずにフラットに見られる。


そういう確信が得られたから、やっとこの本を買うことができました。



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膝の上でごめんなさい



私の言葉はいかんせんシロウトだし、彼女の言葉をそのまま書くこともできないので、このブログには大したことは書いてない。

だから、文字との向き合い方がわからなくなってお困りの方は、ぜひ彼女の本を読んでみてほしいよ。



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