荒野で死んだ徒歩旅行者、恐怖を記録


【アンカレッジ、9月12日AP】
先週の土曜日、若い徒歩旅行者が怪我をして動きがとれなくなり、アラス
カ内陸部の人里離れたテントの中で死亡しているのが発見された。
まだ身元は確認されていない。
しかし、テントにあった日記と2枚のメモからは、助かろうとする
死にものぐるいの努力がしだいに虚しいものになっていく苦悩の顛末が読
みとれる。

日記によれば、20代後半か30代はじめのアメリカ人とみられ
る男性は転倒して怪我をし、その後、3か月以上テントで身動きが
とれなくなっていたらしい。
日記には、狩りをしたり、野草を食べて、生き延びようとしていた様子が
記されていた。
しかし、身体のほうは衰弱していった。

2枚のメモのうちの1枚は救助をもとめるもので、徒歩旅行者が周辺
へ食べ物を探しにいっているあいだに、テントのところへやってくるかも
しれない相手にむかって書いたものである。
2枚目のメモにあったのは、この世に別れを告げる言葉であった……。

今週、フェアバンクスの州検屍局でおこなわれた解剖によって、男性が7
月下旬に餓死したらしいことが判明した。
当局は所持品から彼のもとと思われる名前を発見した。
しかし、いまのところ身元確認までには至っていない。
確認されるまで、当局からの名前の公表はない。



<ニューヨーク・タイムズ>
1992年9月13日