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     太郎さんはやがて、阿武さんにお礼を告げて再び雑草取りに汗を流しました。

 

結局、この日雑草取りは終わりませんでした。

そこで翌日の午前中までかかってやっと終わらすことができました。

 

太郎さんは、阿武さんから家賃が高いと言われたことが気になり、雑草取りが終わった後南手取駅の不動産屋の店頭に貼ってあるチラシを改めて見てました。

 

「うーん、僕のアパートは確かに高いなあ。今や家賃相場は新築でも6万円台で礼金ゼロの物件ばかりだ」

太郎さんがチラシを眺めているとお店から店員さんが出てきました。

「おーい兄ちゃん。部屋を探しているんか?」

店内からチバラギ弁丸出しのおばさんが出てきました。

 

太郎さんは、情報を得る良いチャンスと思いました。

「いえ、僕はこの近くにあるアパートの大家です。今、空室があるので困っています」

「あ、そうけえ。ここじゃ何だから中にお入りよ」

太郎さんは店内に入りました。店内はおばさん一人で、お客さんは誰もいませんでした。

「はい、これ私の名刺。宜しくね」

名刺にはチバラギ不動産 南手取営業所 白鳥礼子と書いてありました。

「良い名前ですね」

「うんにゃ、店長からは名前負けしてるって言われるだんべ」

そういって白鳥礼子さんは歯の欠けた口を開けて笑いました。

 

「白鳥さん、ゴールデンウイークでもお客さんは来ないんですか」

「いやー今日だけでなく毎日殆ど来ねえ」
「毎日暇だからこまるだんべ。あはは」
「でも、ワシ、パートだから暇の方が楽でいいっぺ」

太郎さんはふと思った疑問をおばさんにぶつけてみました。

「そんなにお客さんが少ないのに、なんでこんなに沢山の新築アパートが建っているんでしょうか」

 

「それは、ニコポン光学が工場おっ建てからだ。ここは昔土居中町と言って文字通りド田舎で駅も貧弱だったしアパートもなかった場所だんべ」

「へー、そうなのですか」

「数年前にニコポン光学が来るって言う噂がたってから駅も立派になって道路も広くなった。それからアパートがどんどこ出来たんやな」

「あ、じゃこんな姿に変わったのも最近なんですね」

「んだ、んだ」

 

太郎さんはキテレツなチバラギ弁を聞くのが段々疲れてきました。

 

「あんなあ、ニコポン光学ってここの従業員は200名だけんど、殆どが地元の兄ちゃんと姉ちゃんだべ。だんから東京から来たのはほんの少数だっぺ。来年工場が出来ても東京からくるのはせいぜい50人位と言われてるだんべ」

「そんな少ないのですか」

「そりゃカメラの工場じゃけん規模は大きくはないわな」

「それじゃ今、建築中のアパートは多すぎますね」

「んだ、んだ」

「なんで、それしか需要がないのにこんなにアパート建てちゃうんですか?」

太郎さんは自分の事は棚に上げて聞いてみました。

 

「それはなあ、ニコポン光学の噂が立ってからすぐにアパートメーカーが大挙して地主さまのところに通ってアパート建てさせたからじゃのう」

「こちらの地主様は相続税対策と言われてころりと騙されたんじゃけん」

「ここは地主同志ライバル意識が強いじゃけん、隣がアパートを建てたと言われるとそれに対抗してより大型のアパートを建てたりして見栄の張り合いばかりしているだべ」

 

太郎さんはそれを聞いて暗い気持ちになりました。とんでもないところにアパートを建ててしまったと後悔し始めました。

しかし、その後白鳥礼子さんから希望の持てる情報を得る事が出来ました。

 

それは

 

   

 
 
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