そして、鈴目さんにそのことを伝え、早急に契約する様に伝えました。
翌日、鈴目さんからはお客様は非常に喜んで下さったとの連絡がありました。
そして、太郎さんに感謝していると伝えられました。
太郎さんにとっては単なる赤字に終わった投資物件でしたが、元々の空き家を再生して喜んで住んで頂ける事は今、問題になっている空き家対策として役立ったことに喜びを感じたのでした。
1週間後、太郎さんの所に大きなリンゴ箱が届きました。
何とこのリンゴには「満室」の文字が入っているメデタイものでした。
送り主は入居者で、中には礼状が入っていました。
拝啓 慌ただしい年末が迫ってきているこの頃ですがいかがお過ごしでしょうか。
私はこの度カモネギ太郎様から住宅をお譲り頂いた青森太郎と申します。
この家に入居してから1年が経過しましたが、家内がこの地域を非常に気に入り、近隣のとも仲良くなり、子供たちも友達が沢山出来たことでこの地に永住することに決めました。
最初は近隣のマンションを購入しようかと思いましたが高額なのと戸建てと違っていろいろな制約がある為、現在賃貸中の家を譲り受ける事にしました。
今回の予算である400万円は子育てをしながらなのでここまでが精一杯の金額でした。
当初、500万円のご提示がありましたが、当方はこの金額を支払うゆとりがなく困っていましたがカモネギ太郎様のご高配により希望の金額でお譲り頂いたことに感謝しております。
ささやかですが、お礼の気持ちとしてリンゴを送らさて頂きます。このリンゴは日本では私の実家でしか採れない「満室リンゴ」と言って不動産関係者には非常に人気のあるものです。
これからはこの家を末永く大事に使わさせて頂きます。
ありがとうございました。
敬具
1週間後には決済が行われました。
売却金の400万円から仲介手数料その他の費用50万円を差し引き、リフォームローンの残債を払って250万円が手元に残りました。
これで当面の資金は何とか手当てできました。
こうして太郎さんは無事に戸建てを売却することで当面の資金繰りを解決することが出来ました。
ただ、太郎さんにとっては未だ問題が残っています。
というのは、来年二月末にニコポン光学の6人の退去があり、その後の留学生の入居まで1か月しか期間がありません。
その間、リフォーム、家具家電の購入、設置などやらねばならないことが山の様にあるのです。
生憎この時期は太郎さんの会社は決算期で目の回るような忙しさになります。ですからこれらの仕事を少ない休日でこなさねばなりません。
太郎さんはこの時期をどう乗り切るか悩んでいますが、良いアイデアがありませんでした。
やがて年末になりました。
太郎さんは取りあえず資金ショートのリスクを免れ、無事に正月を迎えることが出来ました。
つづく





