太郎さんは茂助さんに電話しました。
「茂助さん、僕、水増不動産に戸建ての売却をお願いしようと思っています」
「あれ、入居者が買いたいと言っていたんじゃないのかい?」
「はい、でもこの方の予算は400万円です。でも僕はもっと高値で売りたいんです。水増不動産に査定して貰ったら600万円もの査定でした」
「でも、確かこの家の相場は300万円だよね。そんな高値で売れる訳ないじゃないか」
「そうですか。でも大手だから高く売る実力があるのだと思います」
「うーん、大手だからといっても安心できないなあ。あ、そう言えばマドンナ大家さんが昨年アパートを売却したって話があったなあ。マドンナ大家さんにその時の様子を聞いてみたらどうかな」
「そうですか。それじゃ早速聞いてみます」
こうして太郎さんはマドンナ大家さんに電話したのでした。
太郎さんの電話が入った時はマドンナ大家さんは風呂から上ったばかりのところでした。
「もしもし、マドンナ大家さんですか? 僕カモネギ太郎です」
「あ、太郎さんお久しぶり!新築アパートの方はもうかりまっか?」
「あ、ぼちぼちです」
「ところで、僕、水増不動産に戸建ての売却をお願いしようと思っているんですが、マドンナ大家さんが売った経験があると聞いたので電話しました」
「太郎さん、あの会社は良くないわ。ここに依頼するのは止めた方が良いわ」
「どうして? 大手の会社だから大丈夫だと思うけど」
その後、マドンナ大家さんからは水増不動産の実情を聞いて太郎さんは青くなりました。
「あの会社とは最初の査定額がライバルより高かったので契約したわ。でも、最初のうちはその価格で募集したけど、売れないからと言ってすぐに値下げしちゃうの。今考えると契約を取りたいからわざと高い査定額を出していたんだわ。後で相場を調べたらそんな高い価格では売れないことがわかったの」
「ええ、そうなんだあ」
マドンナ大家さんの話はまだ続きますがその内容は長くなるので要約すると
1. 相場やライバルよりかなり高い査定額を出して、専属契約を結ぶ
2. 契約後は高額なので当然客が付かない
3. その後、徐々に相場価格に値下げする
4. 売主、買主双方からの手数料が欲しいので他社に情報を流さない
5. それでも売れないと他社に情報を流すが、自社の客を優先する為、他社がより高い売却価格でも契約しない
「結局、なかなか売れなかったので地元の不動産屋さんに替えて売ったのよ。だから太郎さん、大手だからと言って信用しちゃだめよ。相場を事前に調べてその近辺でしか売れない事をしっかりと理解してね」
そう言ってマドンナ大家さんは電話を切りました。
マドンナ大家さんは以前のいやな記憶を呼び戻されたので気分直しとして冷蔵庫を開けてアイスクリームをもう一個取り出しました。
マドンナ大家さんは増え続ける体重を気にしてダイエットしなくてはと思っていますが、この調子では当分無理でしょう。
つづく





