「戸建て賃貸の最大のリスクはね」茂助さんの話は続けます。
「一番のリスクは売却だね。こちらは殆どの人が経験していないけど売却額次第で今までの利益が吹っ飛ぶことがある」
「そうですか?」
「元々土地の安い田舎のボロ物件を買い叩いて安値で買ったのだから、売るときも同様で安く売る事しかできない。
最初のリフォームで新築並みにしない限り、建物を取り壊して土地値で売るしかないからね」
「一番高値で売れるのは入居者が買い取る場合だ。なぜなら自分が気に入っているから相場より高値で売れるケースが多い。住んだままで売るのだから退去もリフォームも必要ない」
「そうかあ。それじゃ僕の場合は一番良い売却なんですね」
「太郎さん、南手取のアパートでお金が必要なんだろう?その売却金はそれに使えるじゃないか」
「あ、そうか」
太郎さんは急に展望が開け明かりが差したように感じました。
そうかあ。このまま赤字が解消されない戸建てを持っていても仕方がないものなあ。
だったら、これから儲かる確率の高い南手取にその資金を移動した方が良いなあ。
そこで、太郎さんは早速両手不動産に電話を入れて、戸建賃貸の売却を検討する旨伝えました。
但し、相手が提示した400万円ではなく、500万円という売却希望額を伝えました。
鈴目さんは、最初500万円は高すぎると反対しましたが、太郎さんが強く希望するのでとりあえずお客様と相談する事になりました。
太郎さんは鮎子さんに電話を入れ、留学生向けの件を承諾したと伝えました。
これで何とか赤字転落を免れられる可能性が出てきたのです。
鮎子さんは太郎さんからの連絡を受け、とっても喜んでくれました。
「太郎さん、どうもありがとうございます。助かりました」
でも、鮎子さんの悩みはそれだけでは解消できません。
「だけど、4月に来日する留学生は15人なんです。また、9月からは更に多くの人が入学します。ですから太郎さんのアパートだけでは足りません。他に太郎さんの持っている物件ありませんか?」
そんな鮎子さんの話を聞いて、太郎さんは茂倉さんの顔を思い浮かべました。
「そうだ、この前会った茂倉さんは物件が売れなくて困っていたなあ。留学生向けに貸せば良いのじゃないかな」
早速、太郎さんは茂倉さんに電話を入れました。





