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鈴目さんからの電話を切った太郎さんは早速茂助さんに電話を入れました。

 

「茂助さん、3年前に一緒にリフォームした僕の戸建賃貸覚えていますか?」

「ああ、覚えているよ。懐かしいねえ」

 

 

「この戸建を入居者が買い取りたいと言ってきました。でも、この物件未だ赤字なので今売ると損をします。どうしたら良いでしょうか」

太郎さんはそう言って今までのトラブルに費やした費用を説明し、今売ったら損切することになってしまうことを伝えました。

 

「太郎さん、よいチャンスじゃないか。入居者が買い取りたいと言っているならば退去費用やリフォーム費用が不要だから有利な価格で売却できるじゃないか」茂助さんはそう答えました。

 

「茂助さん。そうかも知れないけど僕、悔しいです」

 

「何が悔しいの?」

 

「だって、最近出版された格安戸建の著者達は僕と同じ方法でやっているんです。彼らは大成功して今やタレント気取りですよね。なんで僕と同じことをやってこんなに差が付くのかわかりません」

 

「なるほど」

 

「僕だって成功すれば本を出版して有名になれます。本が売れれば雑誌で紹介してくれます。そうしたら僕イケメンだからすぐに人気が出てTVドラマに出演出来ます。

そうだTVに出る時はカリスマ太郎という名前にしよう」

 

「太郎君妄想が激しいね。特にイケメンについては意見が分かれるなあ」

 

「そこまでは無理としても、ホテルの豪華ディナーを食べながらコンサルをすることだって出来ます。あ、勿論食事代は相手払いです。それで業者から紹介料を貰って左うちわ生活が出来るのに」

 

「太郎君は素晴らしい想像力を持っているね。でも、そんなえげつないことをやったら皆から嫌われるよ。本当に成功した人は家賃収入で潤っているからそんなセコいことはしないはずだ」

 

「あ、そうか。確かに儲かっていればそんなセコい小遣い稼ぎなんてことはしないですね」

 

「そう思う。太郎君は運悪く3年間のうちにいろいろなトラブルが発生したね」

 

「そうです。でもそんな事って予測できないですよね」

 

「確かにそうだ。だから一旦トラブルが発生するとたちまち赤字に陥ってしまう。たまたまトラブルが発生していないから儲かっているように見えるだけだと思うよ」

 

「あと、出版社は本を売る為に内容を脚色して悪い事を隠す事もある。だから本には良い事しか書いていないけど実態は火の車ということもあるそうだ」

 

「あ、そんな裏もあるんですね」

 

「まあ、妄想はそのくらいにしようね。

ところで、戸建て賃貸の最大のリスクはそこではないのだよ」

 

え、最大のリスクって?


つづく

 


     
   
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