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困ったわ

 

 


魚野鮎子さんは勤務先のチバラギ平成大学の事務室でため息をついていました。

実は留学生の宿舎が確保出来ていないのです。

 

チバラギ平成大学の新キャンパスに新設される国際交流学部は来年9月開校ですが、4月からプレスクールとして日本語を話せない留学生の為に先行して日本語教育を実施する予定になっています。

その為に15人ほどの留学生が受講を予定しているものの、彼らを受け入れてくれるアパートがありませんでした。

 

既に白鳥礼子さんを通じていろいろ探してもらっているものの未だに1部屋も決まっていません。

 

この近辺には外国人居住者は殆どおらず、地域の人も外国人に対しては苦手意識を持っていることが原因です。

 

大学はニコポン光学に隣接していますので南手取駅近辺のアパートに住むのが望ましいのですが、外国人入居に関して不動産屋さんは余り乗り気ではありません。

 

白鳥礼子さんはそんな状況でも頑張って大家さんに働きかけてくれているのですが、

相談を受けた大家さんはとっても拒絶反応が激しいのです。言葉の問題、習慣の違い、家賃滞納、勝手に友達を住まわせるなど嫌がる理由は山ほどあります。

 

特にこの大学の留学生は新興国が多く、中には名前も聞いたことのない国もあるのも原因かも知れません。


 

稀に外国人OKのアパートがあっても、日本人も住みたがらないボロで汚いものばかりでした。

 

一般的に日本では外国人というとあまりお金がないというイメージがあるようです。

 

そんなイメージの良くない外国人ですが鮎子さんの勤務している大学の留学生はエリート階級出身が多く、そうでない人も母国から奨学金を受けているので経済的には困窮している人は少ないのです。

でも、それを伝えてもなかなか理解して貰えません。

 

鮎子さんはふと、カモネギ太郎さんの顔を思い浮かべました。

 

そうだ、太郎さんならば受け入れてくれるかも知れない。

 

 

そんな訳で、終電で寝過ごして朝帰りした太郎さんに白鳥礼子から電話が来たのでした。

 

「太郎さん、高い家賃が貰えて満室になる話があるんだけど、聞いてみるかい?」

 

「え、本当ですか?高い家賃っていいですねえ」

 

太郎さんは翌日、うきうきと南手取へと向かったのでした。

 

 

つづく      
     
  
 

 
 
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